ラノベ

『クズレス・オブリージュ』第1巻レビュー|勘違い連鎖が止まらない!悪役転生の王道

千代瀬

総合評価:

※画像はKADOKAWA様公式サイトより引用

👉クズレス・オブリージュ 18禁ゲー世界のクズ悪役に転生してしまった俺は、原作知識の力でどうしてもモブ人生をつかみ取りたい1巻Amazonで見る

作品情報

タイトル:クズレス・オブリージュ 18禁ゲー世界のクズ悪役に転生してしまった俺は、原作知識の力でどうしてもモブ人生をつかみ取りたい
著者:アバタロー
イラスト:kodamazon
出版社:角川スニーカー文庫(KADOKAWA)

あらすじ

気がつくと、自分の知っている18禁ゲーム『ラスト・アルカナム』の世界に転生していた主人公。しかもその役どころは、物語の中でもとりわけ嫌われ、最終的に悲惨な末路を迎える悪役貴族・ウルトスだった。

既にある程度の悪事を働いてしまった時点からの転生で、しかも体はブクブクに太った状態。これでは原作通りの破滅ルートを進んでしまう……と危機感を覚えた主人公は、「目立たず、モブとして生き残る」ことを目標に動き出す。

肉体改造、魔法の鍛錬、周囲への誠意ある対応——着実に評価を落とし、目立たない存在になろうと努力する彼だったが、なぜか周囲の好感度は爆上がり。気づけば原作のヒロインたちや重要人物たちからの信頼を勝ち取ってしまい、物語はどんどん原作から逸れていってしまう――。

詳細評価(5段階)

主人公:
転生前の知識を活かし、破滅を回避しようと努力する姿勢は印象的。最初は肥満体でダメ貴族だったが、徐々に周囲との信頼関係を築いていく過程に好感。ただ、自分本位な行動が多く、読者目線では共感しづらい部分もあった。

ヒロイン:
1巻では複数のヒロインが登場するが、主に紹介段階でラブコメ要素は薄め。魅力的なキャラクターもいたが、まだ幼少期のため本格的な関係はこれからといった印象。

シナリオ:
原作ゲーム知識を駆使して破滅ルートを避けようとする展開は見どころ。転生+勘違い+育成という要素がうまく絡み合っている。魔法知識の解説がやや冗長でテンポが少し気になるかもしれない。

気楽さ:
勘違いによる好感度アップやギャグ展開が多く、重すぎず気軽に読める。主人公サイドに強キャラが揃っているため、安心感もある。

後味:
起承転結がしっかりしており、事件も解決して一区切りのある構成。今後どのヒロインと関係が深まるのか、続巻が気になる終わり方だった。

長さ:
バトル・育成・人間関係の要素がバランス良く配置され、1巻として読み応えは十分。ただヒロインとのやり取りが控えめだった点は少し物足りないかもしれない。

良かった点

悪役転生×勘違い系という王道構成ながら、しっかりと求められている要素を押さえていて読みやすく、楽しめる内容になっていた点が好印象です。

特に、主人公だけでなく周囲の人物までもが“勘違い”していることで、相互の思い込みが絶妙に噛み合ってストーリーが進行していく構図が非常にユニークでした。お互いに「相手はこう思っているはず」と勝手に納得していく展開は、笑いもありつつテンポよく読める要因になっています。

また、主人公が破滅回避のために真剣に努力している姿と、その努力がどんどん誤解を生んでいく展開も、勘違い系の醍醐味としてしっかり楽しめました。

気になった点

1巻ということで、今後に向けた人物紹介や世界観の説明が多めになっており、情報量の多さからやや読み疲れを感じる場面がありました。登場人物も一度に多数登場するため、関係性や立ち位置の把握には少し時間がかかるかもしれません。

また、ヒロインたちもまだ幼少期という設定もあって、ラブコメ要素は控えめ。今後の展開への布石と考えれば納得ですが、そういった関係性を期待して読むと肩透かしになる可能性もあります。

さらに、主人公のウルトスが自分の保身のために行動している場面が多く、その動機が共感しづらく感じる場面もありました。ストーリー展開上は正当化されているものの、「なんとなく思いついたからやる」という行動原理が目立ち、人によっては違和感を覚えるかもしれません。

実際に読んで感じたこと

最近読んだ悪役転生ものが面白かったこともあり、本作を手に取りました。悪役に転生し、悲惨な運命を回避するために努力するという王道展開は、やはり安定して楽しめます。

本作のユニークな点は、主人公自身も周囲も“勘違い”をしているのに、なぜか会話が成立してしまうという構図。ウルトスの行動が厨二病的でありながら、周囲も「そういうキャラなんだ」と受け入れてしまっており、読んでいてクスリと笑える展開が随所にありました。

ただし、ラブコメ要素はかなり薄め。ヒロインたちの登場はあるものの、関係性の進展はほぼないため、恋愛面を重視している読者には物足りないかもしれません。その分、2巻への期待が高まり、私は思わず続巻を購入してしまいました。ラブコメ展開を楽しみたい方は、2巻以降もセットで読むことをおすすめします。

まとめ

「クズレス・オブリージュ」は、悪役転生×勘違い系コメディとしての魅力をしっかり詰め込んだ1冊です。原作ゲーム知識を活かしながら、どうにかして悲惨な運命を回避しようと奮闘するウルトスの姿には、どこか応援したくなる愛嬌があります。

主人公自身の行動も周囲の認識もすべてが微妙にズレており、それでも話が成り立ってしまうという**絶妙な“すれ違いコント”**が本作の持ち味。転生ものの王道を踏まえつつも、ちょっとクセのあるキャラや展開が光ります。

ラブコメ要素は序盤では控えめですが、ヒロイン候補も揃い始めており、今後の展開に期待大。悪役転生ものが好きな方、勘違い系ギャグが好きな方におすすめの作品です。

👉KADOKAWA様公式サイトはこちら

👉クズレス・オブリージュ 18禁ゲー世界のクズ悪役に転生してしまった俺は、原作知識の力でどうしてもモブ人生をつかみ取りたい1巻Amazonで見る

ABOUT ME
記事URLをコピーしました