【影の実力者になりたくて！1巻】レビュー｜中二病×異世界転生の新感覚コメディ開幕！
千代瀬
千代瀬の冒険
『陰キャだった俺の青春リベンジ』感想｜過去と向き合う再スタートの物語
千代瀬
総合評価
※画像は角川スニーカー文庫様より引用
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作品情報
タイトル：陰キャだった俺の青春リベンジ 天使すぎるあの娘と歩むReライフ
著者：慶野 由志
イラスト：たん旦
出版社：角川スニーカー文庫（KADOKAWA)
あらすじ
高校時代に陰キャとして過ごし、社会人ではブラック企業で心身をすり減らしていた新浜心一郎。
そんな彼がある日倒れて目覚めると、なんと高校2年生の頃へタイムリープしていた――。
もう一度やり直せるなら、あの時の灰色だった青春を塗り替えたい。
そして、再会したのは過去に憧れていた美少女・紫条院春華。彼女は今も変わらず、いやそれ以上に魅力的で、まっすぐに新浜を見つめてくる。
だが新浜は、春華がやがて深刻ないじめによって命を絶ってしまう未来を知っていた。
もう二度と後悔しないように。彼女の運命を変えるために。
社畜経験で培った処世術と大人のメンタルで挑む、“二度目の青春リベンジ”が始まる！
詳細評価（5段階）
主人公：
大人のメンタルと社畜力を持った高校生という設定はユニークで、共感しやすい。春華を助けたいという思いは真摯だが、元陰キャとしてやり直したい想いもあり、ちゃんと行動を起こすのは良い。社畜の経験が活かされるのは見どころの一つ。ただ、大人を経験している割には感情的になりやすく、「こういう行動ができるなら前世でも何かできたのでは」と少し思ってしまう部分もある。
ヒロイン：
紫条院春華は天真爛漫で素直な“理想のヒロイン”像を体現しつつも、過去に壮絶ないじめを受けていたという背景が物語に深みを与えている。主人公への信頼もストレートに描かれており、応援したくなる存在。今後さらに心の変化が描かれれば、より感情移入できそう。ただ、1巻時点では恋愛要素は控えめ。
シナリオ：
タイムリープ×青春ラブストーリーという構成は王道ながら、「彼女を救う」という一点に絞った動機が明確で読みやすい。社畜経験の活かし方や青春のやり直し描写も丁寧で、感情に訴える展開が多い。一方で、スクールカーストが強調される場面がやや多く、「高校時代にそこまで意識してた？」と疑問に思う読者もいるかもしれない。
気楽さ：
全体としては明るめの空気感だが、ヒロインの抱える過去や人間関係の描写はやや重め。とはいえ、暗くなりすぎることはなく、主人公の前向きな姿勢が物語のバランスを保っている。
後味：
青春の“やり直し”と“救済”というテーマにしっかり決着をつけており、読後感は良好。すべてが解決したわけではないが、前に進む姿を描き切っていて、1巻として十分なまとまりがある。
長さ：
文量は標準的。感情描写や背景説明が丁寧な分、テンポはややスローペース。じっくり物語を楽しみたい人には向いているが、テンポ重視の読者にはやや重たく感じるかもしれない。
良かった点
主人公が社畜として培ってきた経験が、ただの設定にとどまらず物語の中でしっかりと活かされている点が印象的でした。
問題児への対応や学校行事の運営において、周囲を動かすための段取りや気配りを“高校生とは思えない視点”でこなしていく様子には説得力があり、「やり直し青春もの」としての納得感を高めてくれます。
単なる若返りではなく、大人としての視点を活かした物語の構造が非常に良くできていると感じました。
気になった点
気になった点は2つあります。
1つ目は、主人公が「大人のメンタル」を持っている設定でありながら、いざという場面ではやや感情的になりすぎるところ。社畜としての経験があるなら、もう少し冷静な判断ができそうな場面もあっただけに、ギャップがやや気になりました。
2つ目は、学校全体の雰囲気に関する違和感です。登場するクラスメイトたちの多くが意地悪だったり幼稚だったりと、読んでいてストレスを感じる描写が多めだった一方で、そんな環境にあの“完璧すぎるヒロイン”が在籍しているのはやや不自然に感じました。
実際に読んで感じたこと
ブラック企業で自分も家族も不幸にしてしまった人生をやり直す――そんな誰もが一度は夢見る展開から物語は始まります。さらに、ヒロイン・春華の悲惨な未来を知っていた主人公が、彼女を救おうとする姿勢はとても立派で真摯に感じられました。
やや感情的になりやすい一面はあるものの、社会人としての経験が高校生活の中でしっかりと活かされており、問題児への対応やイベント運営などでの活躍は見ていて心地よかったです。
物語はまだ序盤という印象で、主人公とヒロインの関係性も恋愛には至っておらず“友達”の段階。ただ、お互いに変わりつつある姿が描かれており、今後の展開がとても楽しみになる1巻でした。
まとめ
『陰キャだった俺の青春リベンジ 天使すぎるあの娘と歩むReライフ』第1巻は、過去の失敗や後悔を抱える主人公が、もう一度高校生活をやり直すという王道のタイムリープ系ラブストーリーです。
社畜経験を活かして奮闘する姿、そしてヒロインの未来を変えようと努力する姿勢には胸を打たれました。少し感情的なところや、周囲のキャラのクセが強すぎる部分は気になりますが、読後感は前向きで、次巻への期待が高まります。
“もしもやり直せたら”と一度でも思ったことがある人なら、きっと共感できる場面があるはず。青春と後悔、そして小さな優しさが交差する再出発の物語。気になった方はぜひ手に取ってみてください。
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