『この△ラブコメは幸せになる義務がある。』感想|ギャグと涙が交差する、本気で“推せる”三角関係ラブコメ
総合評価

※画像はKADOKAWA様より引用
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作品情報
- タイトル:この△ラブコメは幸せになる義務がある。
- 著者:榛名千紘
- イラスト:てつぶた
- 出版社:電撃文庫(KADOKAWA)
あらすじ
4月、新学期を迎えた高校二年生の「矢代 天馬」は、特に波風のない日常を望んでいた。
しかし、彼のクラスには二人の有名美少女——完璧な優等生「椿木 麗良」と、気高きカリスマを放つ「皇 凛華」が在籍していた。
高嶺の花である彼女たちとは無縁だと思っていた天馬だったが、ある日ひょんなことから皇 凛華の“秘密”を知ってしまう。
その瞬間から、彼の平穏は崩れ、逃れられない三角関係が始まってしまうのだった——。
詳細評価(5段階)
主人公:
最初は脅されたり、トラブルを避けようとしたりと情けない場面もあるが、芯には信念を持っており、いざという時には行動を起こせる姿勢が好印象。さらに料理が得意で気遣いもできるというハイスペックさもあり、親しみやすさと頼もしさを兼ね備えた主人公だった。
ヒロイン:
ヒロインの「椿木麗良」と「皇凛華」はどちらも癖が強く、ラブコメらしい個性と魅力がしっかり描かれている。ただし、少々暴力的な描写もあり、好みが分かれる可能性はある。1巻時点では説明が多くラブコメ描写は控えめだが、関係性の種まきとしては十分満足できる内容。
シナリオ:
ただのラブコメとは一線を画し、泣ける展開や重みのあるエピソードも含まれた深みのある構成。タイトルが示す“三角関係”はまだ序章だが、それでも物語としての完成度は高く、読みごたえのある一冊となっている。
気楽さ:
会話のテンポは良いが、しっかりと構築された人間関係や伏線が多く、気軽に読むよりもじっくり読むタイプの作品。それだけに世界観への没入感も強い。
後味:
物語としては一応の区切りがあり、読後感は悪くない。ただし、本当の意味での三角関係や心理描写はこれからが本番という印象で、続刊が気になる終わり方でもあった。
長さ:
1巻としては標準的なボリューム。説明も過不足なく、読者にとっては次巻への期待を自然と持てるバランスの良さが光る。
良かった点
本作では、1巻時点では皇 凛華が中心に描かれる構成となっており、彼女の感情の揺れ動きが物語に強く影響していきます。
ギャグとシリアスが程よいテンポで交互に展開されるため、読んでいて興味が途切れず、常に次が気になる構成になっていたのが印象的でした。
最初こそ乱暴で理不尽にも見える凛華の言動も、実はただ素直になれないだけというのがわかってくると、途端に彼女の魅力が増していき、思わずニヤニヤしながら読み進めてしまいました。
気になった点
物語の導入部分である主人公とヒロインの出会いが、やや理不尽かつ強引に感じられる展開になっており、ヒロインの暴力的な言動に戸惑う読者もいるかもしれません。
特に、暴力ヒロインに苦手意識がある方には引っかかる場面かもしれませんが、そういった描写もギャグ要素によってすぐに緩和されていくため、少し読み進めれば印象が変わってくるはずです。
実際に読んで感じたこと
タイトルやあらすじから、二人のヒロインが主人公を取り合う王道ラブコメかと思いきや、読んでみるといい意味で期待を裏切られる展開が待っていました。
登場人物たちの行動にはきちんと動機や背景があり、納得できる描写が多いのも魅力のひとつ。感情の流れや関係性の変化にも説得力があり、自然とストーリーに引き込まれていきました。
「中身のあるラブコメが読みたい」という人には、ぜひ手に取ってほしい一作です。
まとめ
ギャグとシリアスを巧みに織り交ぜた展開で、テンポよく読める1冊。
序盤の暴力系ヒロインに少し驚かされるものの、それも“素直になれない不器用さ”だとわかると一気に印象が変わり、物語に引き込まれていきます。
ラブコメとしてはまだ序章段階ですが、すでにキャラクターの内面描写や行動の説得力、泣けるシーンまで備えた内容の濃さが光ります。
三角関係の今後も含めて、中身のあるラブコメが好きな人には強くおすすめしたい作品です。
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