『僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場2』感想|師匠たちと挑む、最弱クラスの下剋上バトル
総合評価

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作品情報
- タイトル:僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場2
- 著者:赤城大空
- イラスト:タジマ粒子
- 出版社:ガガガ文庫(小学館)
あらすじ
最弱のクラス「無職」を授かった少年・クロスは、3人のS級冒険者である女師匠たちから指導を受け、目覚ましい成長を遂げつつあった。前巻で険悪だったジゼルとも少しずつ距離が縮まり、チームとしての空気も良くなりつつある。
しかし順調な日々は長く続かない。成長著しいクロスのチームに、貴族の少年が勝負を持ちかけてきたのだ。相手は大人の冒険者まで混ざった格上チーム。普通に考えれば勝てるはずのない戦力差。
だが、クロスの師匠たちはこの状況を“最高の実戦訓練”と捉え、クロスにさらなる修行を施していく。
こうして、最弱クラスが格上を叩きのめす下剋上劇が、2巻でも痛快に幕を開ける――。
詳細評価(5段階)
主人公:
最弱クラス「無職」ながら、女師匠たちの厳しくも愛のある指導を受け、才能を着実に開花させていくクロス。謙虚で素直な性格に加え、努力を惜しまない姿勢が非常に好感を持てるポイントだった。
一方で、成長ペースが速いぶん精神面や判断が追いつかない場面もあるが、それが“伸びしろ”として魅力につながっており、未熟さ込みで応援したくなる主人公だった。
ヒロイン:
3人の女師匠の中でも、今巻はハイエルフのリュドミラがクロスの育成方針を主導していく展開が中心。溺愛しつつも弟子として厳しく指導していく姿が魅力的で、愛情と実力主義のバランスがとても良い。
また、師匠同士が育成方針を巡って修羅場になる様子も健在で、掛け合いの面白さは前巻以上。険悪だったジゼルとの関係改善も描かれ、三者三様にクロスを思う姿がキャラの魅力を引き上げている。恋愛よりも“育成”要素が強いが、それがこの作品らしさとして機能していた。
シナリオ:
最弱クラスからの下剋上という王道展開はそのままに、今回は貴族チームとの勝負を軸にクロスの成長と実戦が濃く描かれる巻だった。負け確レベルの戦力差に挑む構図は緊張感があり、師匠たちの修行パートもテンポが良く、非常に読みやすい。
前回は近接戦が中心だったが、今巻では魔法強化が入り戦闘が一気に派手に。クロスの新たな技や成長が楽しめる爽快なバトルが多く、読んでいて気持ちが良かった。
気楽さ:
下剋上×育成という分かりやすいテーマで、全体的に読み疲れしにくい構成。バトルシーンもシンプルで理解しやすく、テンポも軽快なためライトに読み進められる。
師匠たちの掛け合いやギャグ要素も適度にあり、緊張と緩和のバランスが心地よい巻だった。
後味:
クロスの成長と勝負の決着までしっかり描かれており、1冊としての満足度が高い。ジゼルとの関係改善や次巻へ続く伏線も自然に盛り込まれ、読後には「次はどうなるのか」という楽しみが残る構成。
ストレスなく読み切れる安定感のある巻だった。
長さ:
ページ数は多くないが、修行・バトル・師匠同士の掛け合いという見せ場がバランスよく配置されており、一冊を通して飽きずに読める構成。テンポの良さも健在で、物語の密度も満足度も高かった。
良かった点
最弱クラスながら努力で成長していくクロスに対し、女師匠たちがそれぞれの方法で全力で応えようとする姿がとても良かったです。特に今回はリュドミラが育成の中心となり、厳しさの中に弟子への深い愛情がしっかりと感じられる指導が描かれており、師弟関係としての魅力が大きく強化されていました。また、前巻ではギスギスしていたジゼルとの関係が改善し、師匠同士の掛け合いがさらに面白さを増したことで、物語全体の“チームとしての一体感”がより魅力的に表現されています。下剋上の爽快感だけでなく、師匠たちの個性とクロスを想う気持ちが丁寧に描かれた、読んでいて温かくなれる巻でした。
気になった点
特殊なスキルや最強クラスの女師匠たちに支えられているため、クロスが成長していく理由自体は納得できるのですが、今のところ“本格的に苦戦する描写がほとんどない”点が少し気になりました。修行パートは読み応えがあるものの、実践の中で壁にぶつかりながら強くなる展開も見てみたいところです。せっかくの下剋上ものなので、修行だけで片付かず、戦いの中でしか得られない経験や葛藤が成長に繋がる描写があると、さらに物語に深みが出ると感じました。
実際に読んで感じたこと
最弱クラスからの下剋上という王道展開を軸にしながらも、クロスが努力を重ねて確実に強くなっていく姿が気持ちよく、読みながら素直に応援したくなる巻でした。特に今回はリュドミラ中心の育成が進み、厳しさの中に弟子への愛情がしっかり感じられて、師弟関係の魅力が前巻よりもさらに強く出ていた印象です。
一方で、修行パートが多く、実践で苦戦するシーンがほとんどなかったため、強敵との戦いの中で成長する展開も見てみたかったと感じました。とはいえ、魔法を強化したことで戦闘の迫力が増し、師匠たちとの掛け合いもさらに面白くなっており、シリーズとしての楽しさはしっかり継続。育成・バトル・ギャグのバランスがよく、安心して読める続巻でした。
まとめ
最弱クラスからの下剋上という王道要素を軸にしながら、クロスが努力と師匠たちの支えによって着実に成長していく姿が魅力的に描かれた2巻でした。今回はリュドミラの育成が中心となり、厳しさと愛情が共存する師弟関係がとても心地よく、前巻よりもキャラクター同士の関係性が深く感じられる構成になっています。
修行パートが多く実戦での苦戦が少なかった点はやや気になったものの、その分バトル描写は派手さが増しており、クロスの新たな成長を感じられる爽快感も十分ありました。育成・掛け合い・下剋上のバランスがよくまとまっており、安心して楽しめる続巻としておすすめできる一冊でした。
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<前巻のレビュー>
僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場①はこちら

