『陰キャだった俺の青春リベンジ』感想｜過去と向き合う再スタートの物語
千代瀬
千代瀬の冒険
『俺のスマホに心の声が漏れちゃう残念美少女たちが可愛すぎる 1』感想｜本音が見えるアプリで進む学園ラブコメ
千代瀬
総合評価
※画像はオーバーラップ文庫様より引用
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作品情報
タイトル：俺のスマホに心の声が漏れちゃう残念美少女たちが可愛すぎる 1
著者：美月 麗
イラスト：Sak
出版社：オーバーラップ文庫
あらすじ
美少女だらけの家族に囲まれて育った彩花蓮は、女性慣れしすぎたせいで恋愛感情に鈍感な高校生。
ある日、ハマっていたVチューバーとそっくりな少女・サラと出会い、「幸せエネルギー」を集める手伝いをすることになる。
そのために蓮が渡されたのは、“他人の心の声が分かるアプリ”が入ったスマホだった。
心の声を読み取り、相手が本当に望んでいる行動をして幸せにする──そんな能力を使う中で出会ったのが、学園一の孤高の美少女・如月小恋。
誰も寄せつけない冷たい視線の正体は、極度の人見知りで何も話せず睨んでしまうだけという残念な事情だった。
「友達が欲しい」という小恋の本音を知った蓮は、幼なじみの千春やサラと協力し、彼女に話しかけることを決意するが──。
心の声がダダ漏れな“残念美少女”たちに振り回されながらも、少しずつ距離が縮まっていく学園ラブコメディ、開幕。
詳細評価（5段階）
主人公：
彩花蓮は美少女家族に囲まれて育った影響で、良くも悪くも女性慣れしすぎている主人公。
女性が喜ぶことを理解しているため女たらしな面があり、能力的にも有利な立場にいます。
一方で、心の声が読めるにもかかわらず、結果的に相手を追い込んでしまうような展開が多く、もったいなさを感じました。
共感しづらい行動も目立ち、主人公としての評価はやや伸び悩む印象です。
ヒロイン：
メインヒロインの如月小恋は、外見と心の声のギャップが魅力的で、徐々に主人公へ好意や信頼を寄せていく過程も丁寧に描かれていました。
一方で、物語の発端となるサラは宇宙人という設定もあり、行動が非常に騒がしく感じられます。
作中で場をかき乱す場面が多く、協力者のはずなのに邪魔に見えてしまう点はマイナスでした。
小恋の可愛さが際立つ分、サラの扱いは好みが大きく分かれそうです。
シナリオ：
心の声が聞こえるアプリという設定を軸に、コメディとラブコメをテンポよく展開していく構成。
幸せエネルギー集めという目的があるため、各エピソードに動機がある点は評価できます。
ただ、不思議な現象が多く、急展開も頻発するため、読んでいて混乱する場面がありました。
特にサラの行動は物語を進めるどころか足を引っ張っているように感じる部分があり、気になりました。
気楽さ：
心の声アプリや宇宙人といった設定が盛りだくさんで、想像以上に情報量が多い作品。
イベントが突然起きることも多く、気軽に流し読みできるタイプではありません。
ラブコメとしての軽さを期待すると、やや入り込みづらさを感じるかもしれません。
後味：
ヒロイン周りのエピソードはきちんと納得できるところまで描かれており、読後感はかなり良好。
如月小恋との関係も一歩前進し、続きを読みたくなる余韻が残ります。
ラブコメ1巻としては綺麗に締められており、この点は素直に評価できました。
長さ：
展開が急で読みづらく感じる場面はあるものの、1巻としての分量は平均的。
設定説明とキャラクター紹介をこなしつつ、物語自体はしっかり前に進んでいます。
導入巻として最低限必要な内容は押さえられている印象でした。
良かった点
ヒロインたちの“本当の気持ち”を理解してくれる存在が現れる、という構図はやはり本作の一番の魅力。
アプリという能力を使ってはいるものの、ただの便利ツールに頼り切るのではなく、主人公とのやり取りを重ねる中で少しずつ距離が縮まっていく描写が丁寧でした。
特に如月小恋に関しては、理解者が現れたことで表情や心情が変化していく過程が分かりやすく、応援したくなります。
能力系ラブコメでありながら、人間関係の積み重ねを大切にしている点は素直に好印象でした。
気になった点
心の声が聞こえるアプリや宇宙人の存在など、設定がかなり盛り込まれているため、物語序盤は少し情報量が多く感じました。
特にサラの言動は物語を動かす役割ではあるものの、騒がしさが強く、展開によっては読者を置いていってしまう場面もあります。
また、能力を使っている割に主人公が相手を追い詰めてしまうような流れもあり、もう少し丁寧な立ち回りが見たかったところ。
コメディ寄りの作風が合う人には問題ありませんが、落ち着いたラブコメを期待すると好みが分かれそうです。
実際に読んで感じたこと
設定自体はかなり賑やかですが、ヒロインたちの“心の声”と表の態度のギャップは素直に楽しく、ラブコメとしての見どころはしっかりありました。
特に如月小恋のように、誤解されやすいキャラの本音が分かることで印象が大きく変わる点は、本作ならではの面白さです。
一方で、展開が急だったり、騒がしいキャラに振り回される場面も多く、読む側に少し体力を要求される印象もありました。
軽いノリの能力系ラブコメが好きな人なら楽しめますが、落ち着いた恋愛描写を求める人は好みが分かれそうだと感じました。
まとめ
心の声が聞こえるアプリというギミックを活かし、ヒロインたちの本音と向き合っていく構図が印象的なラブコメでした。
設定はかなり盛りだくさんで好みが分かれる部分もありますが、如月小恋のように“誤解されがちなヒロイン”を丁寧に描いている点は大きな魅力です。
騒がしい展開やキャラクターに戸惑う場面はあるものの、能力系ラブコメらしい賑やかさを楽しめる一冊。
軽めで少し変わったラブコメを求めている人には、試してみる価値のある1巻だと思います。
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