主人公の幼馴染が、脇役の俺にグイグイくる2 感想|先の読めない二度目の人生【電撃文庫】
総合評価

※画像はKADOKAWA様公式サイト(電撃文庫)より引用
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作品情報
タイトル:主人公の幼馴染が、脇役の俺にグイグイくる2
著者:駱駝
イラスト:こむぴ
出版社:電撃文庫(KADOkAWA)
あらすじ
ラブコメ主人公・天田照人の計画を阻止し、
最悪の未来を回避した“二度目の人生”。
石井和希に、ようやく平穏な日々が訪れた――
かに思えたが、その安らぎは長くは続かなかった。
未来は変わったはずなのに、
和希はかつて見覚えのある人物と再会する。
それは前世でストーカー被害に遭い、
天田照人に助けられるはずだったヒロイン・羊谷美和。
だが今、この世界に天田はいない。
前世とは異なる状況、読めない未来。
石井和希は過去と同じ結末を繰り返さないため、
他人を簡単に信じることを選ばず、
ヒロイン・氷高命とともに襲いかかるイベントへ立ち向かっていく。
“脇役”として生きるはずだった少年・石井和希が、
再び運命の渦中へ巻き込まれていく――
先の見えない二度目の人生を描く第2巻。
詳細評価(5段階)
主人公:
未来を知っているからこその慎重さや、人を簡単に信じない姿勢には説得力があり、前世の経験がしっかり行動に反映されている点は好印象。
ただし、過去のトラウマがあるとはいえ行動が感情的に見える場面も多く、言動もあえて敵を作りに行っているように感じられる部分があり、主人公としてはあまり好ましく思えなかった。
ヒロイン:
氷高命は「グイグイ来る」立ち位置を保ちつつも、単なる押しの強さだけではなく、感情や事情が丁寧に描かれている。
特に羊谷美和の登場によって前世と今世の違いが際立ち、物語に緊張感が生まれている点が良い。
一方的に振り回す存在ではなく、状況によって表情を変えるヒロイン像が描かれており、続刊としてバランスの取れた描写だった。
シナリオ:
「未来を変えたはずなのに、過去と似たイベントが起こる」という構成が非常にうまく、先の読めない展開が続く。
天田照人という“不在の存在”を軸に据えたまま話が進むことで、原作設定を活かしつつ新鮮さも保っている。
前世の知識が万能にならない点が緊張感を生み、2巻としてしっかり山場のあるシナリオに仕上がっている。
気楽さ:
ラブコメらしいテンポの良さはあるものの、前世や未来改変という設定上、ややシリアス寄りの場面が多い。
完全に気楽に読めるタイプではなく、登場人物や脇役も含めて誰もが裏を抱えている印象が強い。
読んでいて「こんなクラスにはいたくないな」と思うほど常にギスギスしており、主人公視点であることも影響しているように感じた。
後味:
ラブコメらしいテンポの良さはあるものの、前世や未来改変という設定上、ややシリアス寄りの場面が多い。
完全に気楽に読めるタイプではなく、登場人物や脇役も含めて誰もが裏を抱えている印象が強い。
読んでいて「こんなクラスにはいたくないな」と思うほど常にギスギスしており、主人公視点であることも影響しているように感じた。
長さ:
テンポよく進み、中だるみを感じさせない構成。
イベント量と日常描写の配分がちょうどよく、2巻として満足感のある分量だった。
一気読みしやすく、読み終わったときの充実感も高い。
よかった点
未来を変えたはずなのに過去と似た出来事が再び起こるという展開がうまく、前世の知識があるからといって物事が都合よく進まない緊張感が最後まで続くうえ、氷高命や羊谷美和といったヒロインたちも単に物語を動かす存在ではなくそれぞれの感情や立場が丁寧に描かれており、不在のまま影響を与え続ける天田照人の存在も含めて、続刊として読みやすくまとまっていると感じました。
気になった点
前世でのトラウマが理由とはいえ石井和希の言動が感情的で、あえて周囲と対立するような振る舞いが多く感じられたため、その視点で描かれる登場人物やクラス全体の空気も常にギスギスしており、ラブコメとしては少し気楽に読みづらい印象を受けました。
実際に読んで感じたこと
前世の知識を持った主人公がいる作品ではあるものの、本巻ではその知識が万能にならず、思い通りにいかない展開が続く点が印象的でした。
石井和希の行動や考え方には共感しづらい部分も多く、読んでいてモヤっとする場面もありましたが、その分「脇役として生きようとする主人公が、否応なく物語の中心へ引き戻されていく」という構図は一貫して描かれており、シリーズとしての方向性ははっきりしています。
ラブコメとしての軽さよりも、先の読めない展開や人間関係の緊張感を楽しむタイプの作品で、合う人にはしっかり刺さる一方、気楽な学園ラブコメを求める人にはやや重く感じるかもしれません。
まとめ
前世の知識を持ちながらも思い通りには進まない展開や、不在でありながら強い影響を残す天田照人の存在など、設定を活かした構成が光る続刊でした。
石井和希の言動には好みが分かれる部分があるものの、「脇役でいたい主人公が再び物語の中心へ引き戻されていく」というシリーズの軸は明確で、先の読めない展開を楽しめる一冊です。
気楽な学園ラブコメを求める人にはやや重く感じるかもしれませんが、緊張感のある人間関係や運命改変ものが好きな人には、続きを手に取りたくなる内容だと感じました。
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<前巻のレビュー>
主人公の幼馴染が、脇役の俺にグイグイくる①はこちら

