『陰の実力者になりたくて!06』感想レビュー|ジャック・ザ・リッパームーブで王都の闇へ

千代瀬

総合評価

※画像は新文芸(KADOKAWA)様公式サイトより引用

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作品情報

  • タイトル:影の実力者になりたくて!06
  • 著者:逢沢大介
  • イラスト:東西
  • 出版社:新文芸(KADOKAWA)

あらすじ

第6巻では、主人公シド(シャドウ)がいつもの“陰の実力者ムーブ”を貫く中で、王都の腐敗に新たな波紋が広がっていく。
秘密結社『十三の夜剣』に陰から支配され、『ディアボロス教団』とも繋がる貴族たちによって、ミドガル王国の闇は深く根を張っていた。権力で悪事を隠蔽し、裁かれないままの悪徳貴族たち――そんな現実に対し、シドは“とある悪役”として動き出す。

王都を騒がせる連続殺人鬼『ジャック・ザ・リッパー』を名乗り、闇に紛れて悪を断つ。
その行動はシドにとっては例によって「ロールプレイ」の延長なのに、周囲はいつも通り盛大に勘違いし、状況はますます大きく動いていく。

さらに前巻から登場したクリスティーナも、腐敗する王国の在り方に疑問を抱き始める。
彼女は“陰ながら悪を狩る存在”という姿勢に強く惹かれ、やがてその影響は思わぬ形で表面化していく――コメディの勢いと、王国の闇が交差する第6巻。

詳細評価(5段階)

主人公:
シドは今回も相変わらずの信念と“陰の実力者ムーブ”で、本人だけは大満足そうなのがシリーズらしいです。
ただ、その行動が周囲のヒロインたちに強烈な勘違いを誘発し、人生や行動そのものを変えてしまっている点は、巻を重ねるほど影響が大きく感じられました。
また前から倫理観は薄いタイプですが、今回は「襲われたから反撃」ではなく、情報を得たうえで“羨ましい”方向の理由から悪役ムーブに入った印象があり、少し違和感が残りました。ストーリー的には確かに悪役らしいのですが、もし勘違いだったらどうするんだろう…と一瞬考えてしまう場面はありました。

ヒロイン:
今回のメインヒロインは第5巻から登場したクリスティーナで、ここがとても良かったです。
前巻で事件に巻き込まれた“被害者”としての立場から、裁くべき人間が「偉い立場」というだけで裁かれない現状に疑問を抱いていく流れが自然でした。
さらにシャドウの立ち回りを目の当たりにして考え方が変化していくのが新鮮で、これまでの“勘違い被害者”枠とは違う方向性のヒロインとして楽しめました。加えて、他の過去ヒロインのその後や、デルタの過去にも触れられていて、ヒロイン面でも情報量が多い巻でした。

シナリオ:
メインシナリオはいつもの感じで、陰の実力者ムーブ→意味深な言動→周囲が盛大に勘違い、という流れが安定して面白いです。
毎回よくこの“勘違いの連鎖”を思いつくなと思うほどテンポがよく、勢いでどんどん読めてしまいました。
さらに今回は、過去に登場したヒロインたちの近況や、デルタの過去なども挟まれていて盛りだくさん。単なる1本筋だけでなく、シリーズの積み重ねを感じる構成になっていました。

気楽さ:
品のノリ自体は深く考えなくても楽しめるタイプですが、第6巻ともなると“知っている前提”で登場人物が出てくる印象は強いです。
久しぶりに読むと人物や勢力の把握が追いつかず、そこが少し気楽さを下げる要因になりました。
とはいえ前巻までをちゃんと読んでいるほど面白さが増すタイプなので、シリーズ追い勢にはむしろご褒美感もあります。

後味:
メインシナリオは気持ちよく区切りがついて、読後感は悪くありません。
ただ、不穏な気配や“この先が動きそう”な空気は残していて、スッキリ完結というより次巻への引きが強い終わり方です。
その分「早く7巻が読みたい」と思わせる余韻があり、続刊としてはちょうどいい後味でした。

長さ:
メインシナリオの尺は普段通りで読みやすく、だれずに進みます。
そのうえで今回は、過去の話や以前のヒロインのその後などが入っていて、全体として読み応えが増していました。
本筋だけでなく補助線のエピソードもある分、シリーズの厚みを感じられるボリュームだったと思います。

良かった点

いつも通りの“陰の実力者ムーブ”で、周囲が盛大に勘違いしていく流れが安定して面白かったです。意味深な言動が別解釈されて大ごとになるテンポが良く、今回も「毎回よく思いつくな」と感心しながら読めました。

また、過去に登場したキャラがその後どうなっているのかを描いてくれるのが助かります。シリーズが長くなるほど「結局あの人どうなったっけ?」が増えるので、こういう補完があると読み手としてありがたいです。デルタの過去も含め、情報量が多い巻でした。

さらに、クリスティーナを中心に“腐敗する王国への疑問”が強調され、コメディの勢いの中にちゃんと物語の芯が通っていたのも良かった点です。勘違いギャグだけで終わらず、次が気になる方向へ進む手応えがありました。

気になった点

第6巻ということもあり、登場人物や勢力が多く、久しぶりに読むと把握が大変に感じました。作品としては深く考えなくても楽しめる一方、シリーズの積み重ねが効いているぶん、前巻までを覚えているほど面白さが上がります。初見や間が空いた人は、軽く人物関係を思い出してから読むのがおすすめです。

また、主人公シドの倫理観の薄さは元からの持ち味ですが、今回は動機の見え方が少し違って感じられる場面がありました。ストーリー的には悪役として筋は通っているものの、「もし勘違いだったらどうするんだろう」と一瞬引っかかるところはありました(とはいえ、作品のノリとしては許容範囲です)。

実際に読んで感じたこと

相変わらず面白く、シドの影響でヒロイン陣の人生が良くも悪くもどんどん変わっていくのを実感する巻でした。勘違いコメディの勢いは強いのに、背景の腐敗や権力構造は重めで、そのギャップがこのシリーズらしい味になっています。

特に今回はクリスティーナが中心に入り、彼女の視点で“王国の歪み”が見えてくるのが新鮮でした。彼女が何を見て、どう考え方を変えていくのかが、次の展開への期待を作ってくれます。

読後はスッキリしつつも不穏さが残り、「早く7巻を読みたい」という気持ちが強くなる終わり方でした。続刊待ちのワクワクがちゃんと残る第6巻です。

まとめ

第6巻も“陰の実力者ムーブ”と勘違いの連鎖が安定して面白く、シリーズらしさはしっかり維持されています。コメディとして勢い良く読める一方で、腐敗した王国や権力構造といった重い要素も絡み、物語としての芯も感じられる巻でした。

今回はクリスティーナが中心に入り、これまでとは少し違う角度から世界が動き始める手応えがあります。過去キャラのその後や補完も多く、続刊読者向けの満足度が高い第6巻でした。

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<前巻のレビュー>
👉『陰の実力者になりたくて!05』はこちら

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