俺は星間国家の悪徳領主!3 感想|幼年学校編で加速する勘違い悪徳ムーブ

千代瀬

総合評価

※画像はオーバーラップ文庫様公式サイトより引用

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作品情報

タイトル:俺は星間国家の悪徳領主! ③
著者:三嶋与夢
イラスト:高峰ナダレ
出版社:オーバーラップ文庫

あらすじ

悪徳領主として振る舞っているつもりが、
なぜか周囲からは名君として評価されてしまう――
そんな勘違いを重ねながら、星間国家で領地経営を続けるリアム。

第三巻では、貴族の子弟が集まる幼年学校へと舞台が移り、
リアムは気が強そうな公爵令嬢・ロゼッタと出会う。
「悪役貴族たるもの、こういう女を落として心を折るのが悪徳」
そう思い込んだリアムは、ロゼッタの心を折るため行動を開始する。

しかし、ロゼッタの家はある理由から帝国内で虐げられており、
彼女はその境遇ゆえに気丈に振る舞い、周囲と距離を置いていた。
そんな事情を知らないリアムは遠慮なく踏み込み、
悪徳領主ムーブのつもりが、結果的に彼女を救う方向へと話が転がっていく。

悪徳領主を目指しているはずなのに、
なぜか悲劇のヒロインを救ってしまう――
勘違いが加速する領地経営(と貴族教育)を描く、シリーズ第3巻。

詳細評価(5段階)

主人公:
リアムは本巻でも「悪徳領主らしく振る舞っているつもり」で行動しているのに、そのすべてが善政や善行として受け取られてしまうズレが健在。
幼年学校編では、悪役貴族としての振る舞いを意識しすぎた結果、ロゼッタに対して遠慮なく踏み込んでいくのが印象的でした。
本人は相手の心を折るつもりなのに、結果的に彼女を救ってしまう流れが分かりやすく、勘違い系主人公としての完成度がさらに高まっています。

ヒロイン:
ロゼッタは気丈で気の強い公爵令嬢として登場しますが、その裏にある境遇が明かされることで、一気に印象が変わるキャラクターです。
周囲と距離を置く彼女に対して、リアムが無自覚に踏み込んでいく関係性が物語の軸として機能していました。
悲劇のヒロイン枠でありながら、重くなりすぎずラブコメ寄りの空気を保っている点も好印象です。

シナリオ:
幼年学校という舞台設定がシリーズに新鮮さを与えており、領地経営とは違った角度からリアムの勘違いが描かれています。
悪徳領主ムーブをしようとするほど、結果的に人助けになってしまう構造が分かりやすく、シリーズの魅力を再確認できる構成でした。
ロゼッタ編としても一区切りがあり、3巻単体でも満足感のあるシナリオです。

気楽さ:
全体的にテンポが良く、重い政治劇や陰謀に寄りすぎないため、かなり気楽に読めます。
悲惨な境遇が語られる場面はあるものの、物語のトーンは終始コメディ寄り。
勘違い系ラブコメとして、肩の力を抜いて楽しめる一冊でした。

後味:
ロゼッタの問題に一つの答えを出しつつ、リアム自身の勘違い評価もさらに積み上がる形で締められています。
「悪徳領主を目指しているのに、またやってしまった」というシリーズらしい余韻が残る後味。
続きを自然に読みたくなる終わり方でした。

長さ:
幼年学校編に焦点を当てているため話の軸がぶれず、読み進めやすい構成。
会話中心でテンポも良く、中だるみを感じにくい分量です。
続刊としてちょうど良い読み応えでした。

よかった点

幼年学校という新しい舞台によって、これまでの領地経営とは違った形でリアムの“勘違い悪徳ムーブ”が描かれ、新鮮さがありました。
ロゼッタに対して「悪役貴族として心を折るつもり」で踏み込んでいく行動が、結果的に彼女の境遇を救う方向へ転がっていく構図が非常に分かりやすく、このシリーズの魅力を改めて実感できます。
悪徳領主を目指しているはずなのに、悲劇のヒロインを救ってしまうというズレがテンポ良く積み重なり、コメディとしても安心して楽しめる一巻でした。

気になった点

勘違いによって状況が好転していく展開は安定して面白い一方で、構造自体はこれまでの巻と大きく変わらないため、人によっては少しパターン化を感じるかもしれません。
また、幼年学校編という舞台の都合上、領地経営や星間国家らしいスケール感はやや控えめになっており、その点を期待して読むと物足りなさを感じる可能性があります。
ロゼッタの境遇についても比較的スムーズに解決へ向かうため、もう少し葛藤や溜めがあっても良かったと感じました。

実際に読んで感じたこと

第三巻は幼年学校編ということで、これまでの領地経営中心の展開とは違い、キャラクター同士の距離感や会話がより際立つ巻だと感じました。
リアムは相変わらず「悪徳領主として振る舞っているつもり」なのですが、ロゼッタに対して踏み込む姿勢は結果的に彼女を救う形になっており、そのズレが分かりやすくて面白かったです。
特に、本人は悪役ムーブのつもりなのに周囲からは善意として受け取られてしまう構図が丁寧に描かれていて、シリーズの魅力がよく詰まった一冊でした。
大きな盛り上がりよりも安心感のある面白さがあり、気楽に読める続刊として満足度の高い巻だったと思います。

まとめ

第三巻は幼年学校編を通して、リアムの「悪徳領主を目指しているのに善行として受け取られてしまう」勘違い構造が、より分かりやすく描かれた一冊でした。
ロゼッタを巡るエピソードでは、悪役ムーブのつもりで踏み込んだ行動が結果的に悲劇のヒロインを救う流れとなり、このシリーズらしいズレの面白さをしっかり味わえます。
大きな展開よりも安心感のあるコメディとキャラクターの魅力が前面に出ており、気楽に読める続刊として満足度の高い巻でした。

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<前巻のレビュー>
俺は星間国家の悪徳領主! ②はこちら

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