悪役貴族が開き直って破滅フラグを“実力”で叩き折っていたら②』感想|理想の悪役主人公が貫く、熱く誠実な成長譚
総合評価

※画像はスクウェア・エニックス様より引用
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作品情報
タイトル:悪役貴族が開き直って破滅フラグを”実力”で叩き折っていたら、いつの間にかヒロイン達から英雄視されるようになった件 1
著者:楓原こうた
イラスト:ファルまろ
出版社:スクウェア・エニックス
あらすじ
ゲーム世界の悪役に転生したイクスは、破滅ルートを回避するため、ひたすら鍛錬を重ねていた。
悪役らしく強敵に挑み、自分を磨いているだけのつもりが、なぜかヒロインたちから英雄扱いされ、気づけばハーレム状態に。
今回は修行の場を得るため、ヒロインの一人・アリスとともに田舎の地へ。
のんびりスローライフを送るはずが、そこには“アリスルートのラスボス”が待ち構えており――。
悪役なのに頼られまくるイクスの奮闘を描く、実力主義系異世界ファンタジー第2巻!
詳細評価(5段階)
主人公:
イクスの“悪役を演じながらも実力で突き進む”スタイルが今回も爽快。
己の力を磨くことに真っ直ぐで、立ち回りもスマートながらどこか不器用なところが魅力的。
強さに裏打ちされた自信と、ヒロインを守るときの真剣さのギャップが格好よく、まさに王道を体現していた。
また、敵よりも弱いながらも自分の身を顧みず立ち向かい、乗り越えようとする姿勢も印象的だった。
ヒロイン:
メインとなるアリスは、まだ恋心を自覚していない段階から始まり、イクスと過ごすうちに少しずつ心情が変化していく。
イクスに対する信頼と恋心の入り混じった距離感が可愛らしく、読んでいて微笑ましい。
また、他のヒロインたちとの掛け合いもテンポがよく、ハーレム作品としてのバランスも良好だった。
シナリオ:
スローライフかと思いきや、ラスボス登場という緩急のある展開が魅力的。
ゲーム知識を活かすのではなく、純粋な“実力”で問題を解決していく流れがこのシリーズらしさを際立たせている。
敵キャラにもきちんとした背景が描かれており、単なる悪役ではない深みが物語を引き締めていた。
気楽さ:
バトルが多めではあるものの、会話のテンポが軽く、重すぎずに楽しめる構成。
シリアスな場面でもコメディ要素が巧みに挟まれており、緊張と緩和のバランスが心地よい。
日常パートの温かさも健在で、ストレスなく読み進められる一冊だった。
後味:
スッキリとした終わり方で、次巻への期待を残しつつも一区切りがついている。
主人公の努力がしっかり報われ、ヒロインたちとの関係も一歩進んだ形で描かれるのが心地よい。
読後には達成感と爽快感の両方が残る、満足度の高い構成だった。
長さ:
展開テンポが早く、バトルと日常の切り替えもスムーズで読みやすい。
シリーズ中盤に向けた伏線も散りばめられており、ボリューム感もちょうど良い。
2巻として理想的な長さとテンポを保っていた。
良かった点
イクスが破滅を回避することだけを目的にせず、ヒロインや仲間、さらには敵でさえも救おうとする姿勢がとても印象的でした。
強さだけでなく、人としての優しさや信念を持ち合わせた“理想の主人公像”がしっかり描かれており、読んでいて爽快感と温かさを同時に感じられます。
悪役を演じながらも、本質的には誰よりも正義感が強く、他者を思いやるイクスの行動が物語全体を前向きなものにしていました。
気になった点
特に大きく気になる部分はありませんが、一巻から少しずつ挿まれている“謎の人物視点”の描写が気になりました。
この存在が物語にどう関わってくるのか、いつ秘密が明かされるのかが今後の注目ポイント。
本筋とは別の伏線として静かに進行しており、シリーズを追う楽しみをより深めてくれる要素になっています。
実際に読んで感じたこと
今回も“実力で運命を切り開く”イクスの姿がとにかくかっこよかったです。
前巻に続き、悪役としての立ち位置を保ちながらも誰かを救うために動く姿勢がぶれず、読んでいて胸が熱くなりました。
バトルだけでなく、ヒロインたちとの関係性の変化も丁寧に描かれており、会話の掛け合いもテンポよく楽しめました。
また、敵キャラにもドラマがあり、単なる勧善懲悪に終わらない展開が魅力。シリーズの深みが一段と増した印象です。
まとめ
破滅フラグを“実力”で叩き折るというコンセプトを軸にしながら、主人公イクスの人間味がより深く描かれた第2巻でした。
戦闘シーンの迫力はそのままに、ヒロインたちや敵キャラとの関係性に温かさが増し、作品全体に厚みが出ています。
悪役でありながら、誰よりも真っ直ぐで誠実な主人公が貫く信念が物語を支え、読後には爽快感と余韻の両方が残る展開でした。
シリーズとしての方向性も明確になり、次巻でどんな成長と謎の解明が描かれるのか今から楽しみです。
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<前巻のレビュー>
悪役貴族が開き直って破滅フラグを”実力”で叩き折っていたら、いつの間にかヒロイン達から英雄視されるようになった件①はこちら

