ラノベ

悪役好きの俺、推しキャラに転生』感想レビュー|推しの悪役を救う異色の転生ファンタジー!

千代瀬

総合評価

※画像はKADOKAWA様公式サイトより引用

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作品情報

  • タイトル:悪役好きの俺、推しキャラに転生 ~ゲーム序盤に主人公に殺される推しに転生したので、俺だけ知ってるゲーム知識で破滅フラグを潰してたら悪役達の帝王になってた件~
  • 著者:高野ケイ
  • イラスト:kodamazon
  • 出版社:電撃の新文芸(KADOKAWA)

あらすじ

日本で暮らす少年は、伝説のシミュレーションRPG『ヴァルハラタクティクス』をひたすらプレイし続ける“悪役好き”だった。
ある日、謎の声に導かれ眠りについた彼が目を覚ますと……そこはゲームの世界。そして、自身が転生していたのは序盤で主人公にあっさり敗北する悪徳領主ヴァイス!

「よりによって推しに転生してしまった……!」

誰にも理解されないヴァイスの魅力を知る唯一の存在として、彼は破滅フラグを回避し、推し悪役たちを救うためゲーム知識を駆使して立ち回っていく。
本来なら倒されるはずの悪役たちは、次第に彼のもとに集まり始め――気づけば“悪役連合の頂点”へ⁉

噛ませキャラの逆転劇が始まる――悪役愛で歴史を書き換える痛快転生ファンタジー!

詳細評価(5段階)

主人公:
転生前から“悪役推し”という珍しい嗜好を持ち、転生後もその信念を貫くヴァイスは非常に魅力的な主人公。
ゲーム知識を駆使して“悪”という立場に意味を与えようとする姿は新鮮で、読んでいてワクワクさせられる。
一方で、転生後の適応がやや早すぎる印象もあり、若干のご都合主義に感じられる部分もある。

ヒロイン:
本巻では“明確なヒロイン”と呼べる存在はまだ薄め。
代わりに、推しである悪役たちとの信頼関係や結束が中心に描かれ、物語に厚みを与えている。
女性キャラは登場するものの、恋愛的な描写は控えめ。今後の展開に期待したい。

シナリオ:
「推し悪役キャラに転生し、ゲーム知識で破滅フラグを回避しながら悪役の価値を証明する」という設定がとにかくユニーク。
仲間集めや事件解決がテンポ良く進むため、読者を飽きさせない構成になっている。
悪役を「誇るべき立場」と捉える視点が他作品にはない切り口で新鮮だった。

気楽さ:
テンポの良い異世界ファンタジーである一方、背景には重めの設定や過去を背負ったキャラが多く登場する。
暴力的な描写やダークな一面もあり、読者を選ぶ側面も。完全な“気楽枠”ではない点に注意。

後味:
主人公の目的である「推しを救う」という目標は一巻できっちり果たされ、達成感のある読後感。
仲間たちとの絆もしっかり描かれており、次巻への期待を自然と持たせる終わり方になっている。

長さ:
一巻としては標準的なボリューム。
展開が早いため読みやすい反面、設定の説明や背景描写が駆け足に感じられる部分も。
じっくり世界観に浸りたい読者には少し物足りないかもしれないが、テンポ重視の読者には快適。

良かった点

主人公・ヴァイスが“悪役推し”という一風変わった立場でありながらも、
信念を持って行動しているのが非常に好印象でした。
単に悪を肯定するのではなく、「将来悪役と呼ばれるようになった背景に理由がある者たち」を見抜き、
彼らを救おうとする姿勢が読者の共感を誘います。

また、自らのゲーム知識をもとに努力と工夫で状況を打開し、
破滅フラグを回避していく展開も爽快で読み応えがありました。
私利私欲や快楽のために他者を傷つける“本当の悪”に対しては毅然とした態度を取り、
仲間を守ろうとする姿勢も物語に芯を与えています。

気になった点

全体的に説明がやや多めで、ゲーム世界や各キャラクターの背景・設定を一気に詰め込んでいる印象がありました。
特に序盤では主人公の転生理由や世界観、悪役たちの事情が次々と語られるため、
読者によっては情報量の多さに圧倒されるかもしれません。

また、今巻では3名のヒロイン(候補)と思われるキャラが登場しますが、
それぞれの見せ場がやや駆け足気味に感じられた点も少し惜しかったです。
1巻で多くのキャラと関係を築く分、各キャラとの深掘りは次巻以降に期待したいところです。

実際に読んで感じたこと

“悪役が好き”という主人公の嗜好をベースにした物語は珍しく、興味深く読み進めることができました。
単なる勧善懲悪ではなく、「悪役にも悪役なりの背景がある」という視点から描かれる展開は、
他作品とは一線を画しており、新鮮さがありました。

また、主人公が転生先で怠惰に過ごすのではなく、自らの信念に従って積極的に行動し、
“推し”である悪役たちを救っていく姿勢は非常に好感が持てました。
ご都合主義になりすぎないよう、過去のゲーム知識を駆使しながらも、
ちゃんと努力や工夫を重ねる描写がしっかりと描かれていたのも好印象です。

ヒロインや仲間たちとの関係性がどう深まっていくのか、今後の展開にも期待が持てる1巻でした。

まとめ

『悪役好きの俺、推しキャラに転生』は、
“悪役が好き”という珍しい嗜好を持つ主人公が、ゲーム内で不遇な最期を迎える推しキャラに転生し、
ゲーム知識と信念を武器に破滅フラグを打ち砕いていく異世界転生ファンタジーです。

王道の勧善懲悪ではなく、「悪役にだって救われる価値がある」という視点から描かれる物語は新鮮で、
仲間たちとの信頼関係やヒューマンドラマも熱く、1巻として非常に読み応えがありました。

信念を持って行動する主人公、丁寧に掘り下げられた“悪役”キャラクターたち、
そして次巻への引きまで含めて、物語としての完成度が高い1冊です。
悪役視点の異世界転生ものに興味がある方や、骨太なストーリーが好きな方にはおすすめです。

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