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『貧乏家族の長男はやがて『魔王』に成り上がる』ネタバレ控えめ感想|2月新作は面白い?王道成り上がりレビュー

千代瀬

総合評価

作品情報

タイトル: 貧乏家族の長男はやがて『魔王』に成り上がる
著者: 城野 白
イラスト: 福きつね
出版社: 電撃文庫

あらすじ

親も頼れる親戚もいない中で、中学を卒業したばかりの少年・一色樹は、弟妹を養うために冒険者になることを決めます。
生活を支えるために、彼はダンジョンへ潜り、危険と隣り合わせの仕事で少しずつ稼いでいく日々を選びました。

まだ15歳の少年が命を懸ける現場に立つことに周囲は驚きますが、樹には“戦えるだけの理由”があります。
マナを手足のように扱い、魔法を組み立ててしまう――常識外れの才能を持っていたのです。

樹の強さは、ただの無双で終わりません。
ダンジョンをどう突破すれば効率よく稼げるのかを考え、試行錯誤しながら攻略を進めていくため、戦い方にも工夫と成長が感じられます。

稼げるようになるほど家族の生活は少しずつ上向き、樹の挑戦は“強さの誇示”ではなく“守るための手段”になっていきます。
家族のために稼ぐ少年が、常識を塗り替えながら成り上がっていく――ダンジョン攻略×魔法無双譚の開幕を描く一冊です。

この15歳の少年が、いかにして独自の魔法を編み出し、家族を養うための道を切り拓いていくのか。その魔法構築シーンの続きは、Kindle版の無料サンプルですぐに確認できます。まずはAmazonで作品の空気感を体験してみてください。

電撃文庫(KADOKAWA)様公式サイトはこちら

詳細評価(5段階)

主人公:
家族のためにお金を稼ぐ若い少年で、魔法の才能があり応用力も高い主人公です。報酬への執着心が怖いくらい強く、条件さえ良ければすぐに飛びつくところは印象的でした。一方で家族思いなのはもちろん、知り合った仲間を思いやれる優しさも持っており、人として嫌いになれない魅力があります。ただ、どんな状況でも焦ることなく冷静で感情の起伏が薄く、読んでいて少し怖さを感じる場面もありました。良くも悪くも“ロボットのように淡々としている”点が好みを分けそうです。

ヒロイン:
本作はヒロインというより、仲間や家族との関係が中心で、ラブコメ要素はかなり控えめです。そのぶん、登場人物同士の信頼や生活の積み上げが丁寧で、温度感としては落ち着いて読めました。イラストは可愛らしく魅力的で、主要人物も(モブを除けば)他者を思いやる優しいキャラが多い印象です。誰かを強く嫌いになるタイプの作品ではなく、全体として“素直に応援できる空気”があるのは良かったです。

シナリオ:
タイトルにある要素は、最後まで読まないと輪郭がはっきり見えてこない構成でした。ダンジョンでお金を稼ぐために挑戦した少年が、他人の技や敵の動きを脅威的な速度で学習し、最速で攻略していく流れが軸になっています。序盤から「この主人公、普通じゃないな」と感じさせる描写もあり、タイトルを気にせず“異世界もの(ダンジョン攻略もの)”として読んでも十分楽しめます。派手さよりも、合理的に積み上げていくタイプの無双として面白い一冊でした。

気楽さ:
読みにくいところは少なく、目的や行動が分かりやすいのでテンポよく読めます。世界の仕組みも流れの中で説明されるため、置いていかれる感じはあまりありませんでした。ただ、ダンジョンや魔法がある世界観なのに家電など現代的なものが出てくるので、そこは少し混乱しやすいかもしれません。とはいえ全体としては分かりやすく、気楽に読み進められる部類です。

後味:
物語としてきちんと目的を達成し、読後感はかなり良かったです。区切りはついているのに、続きも自然に読みたくなる形で終わるので、次巻への期待が素直に残ります。重い余韻というより、「この先どうなるのか見届けたい」という前向きな引きが強いタイプでした。シリーズを追う動機が作られている締め方だと思います。

長さ:
長さ自体は標準的ですが、展開の繰り返しや苦戦する場面があまりなく、サクサク進む印象でした。そのため体感としては短めで、テンポよく読み終わります。逆に言うと、濃密な困難や試行錯誤をたっぷり味わいたい人には物足りなさが出る可能性もあります。読みやすさ重視でスピード感のある一冊、という印象です。

良かった点

まず「家族を養うために稼ぐ」という目的が最初から明確で、主人公の行動にブレがないのが読みやすかったです。ダンジョン攻略も“勢い”ではなく、学習速度の異常さと合理性で押し切っていくタイプなので、無双でも納得感が出やすい印象でした。さらに、主要人物が基本的に優しく、変にギスギスしない空気感なのも好みでした。ラブコメ寄りではなく、仲間や家族を中心に「生活を上向かせていく」面が強いので、成り上がり要素と日常のグレードアップがセットで楽しめます。

気になった点

主人公の感情の起伏が薄く、どんな状況でも冷静すぎるところは、魅力にも不気味さにもなり得ると思いました。家族思いで優しいのに“ロボットっぽい”印象が残るため、共感タイプの主人公を求める人には合わない可能性があります。また、ダンジョンや魔法がある世界観の中で、家電など現代的な要素が出てくる場面は少し混乱しやすく、世界の手触りが掴みにくいところがありました。さらに、苦戦が少なくテンポが良い反面、山場の“しんどさ”や攻略の泥臭さが欲しい人には物足りないかもしれません。

実際に読んで感じたこと

本作は「稼ぐために潜る」という現実的な動機が強く、ダンジョン攻略ものとしての入口が分かりやすい作品でした。主人公の強さも、ただの俺TUEEEというより“学習と最適化”で進んでいくため、テンポ良く読めます。一方で、主人公の冷静さやお金への執着が際立つので、読んでいて「この少年、普通じゃないな」という感覚がずっと残りました。そこが刺さる人には魅力で、苦手な人には怖さになると思います。読み終わった後は目的が達成され、続きも気になる形で締まるので、シリーズの導入巻としては手堅い印象でした。

まとめ

『貧乏家族の長男はやがて『魔王』に成り上がる』は、弟妹を養うためにダンジョンへ潜る15歳の少年が、異常な魔法才能で常識を塗り替えていく成り上がり譚です。目的が明確で読みやすく、無双のテンポも良いため、サクサク進むダンジョン攻略ものとして楽しめました。反面、主人公の感情の薄さや世界観の混在など、好みが分かれそうな要素もあります。それでも読後感は良好で、次巻を読みたくなる引きもあるので、「家族のために稼ぐ」成り上がり×ダンジョン系が好きな人には試しやすい一冊だと思います。

結論:この本は「買い」か?

ダンジョン成り上がり×家族のために稼ぐという軸が明確で、テンポよく読める1巻です。
一方で主人公の感情が薄めで、世界観に“現代っぽさ”が混ざる場面もあるため、そこが好みを分けるポイントになります。

✅ こんな人には特におすすめ

  • 家族や仲間を大事にする、生活を良くしていく物語が好き
  • 目的がブレない合理的な主人公で、サクサク進む無双が読みたい
  • 王道の成り上がり(ダンジョン攻略)をテンポ重視で楽しみたい

❌ こんな人には向かないかも

  • “主人公の感情の揺れ”や人間臭さを強く求める
  • 世界観の整合性を重視して、現代要素の混在が気になる
  • 苦戦や泥臭い試行錯誤をたっぷり味わいたい

「大きな驚きはないけれど、期待した面白さをしっかり返してくれる導入巻」でした。
気になった方は、まずは1巻で“家族のために稼ぐ成り上がり感”を試してみるのがおすすめです。

電撃文庫(KADOKAWA)様公式サイトはこちら

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