『男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと』感想|百合を守るはずがなぜかモテる!?
総合評価

※画像はKADOKAWA様公式サイトより引用
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作品情報
タイトル:男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと
著者:端桜了
イラスト:hai
出版社:KADOKAWA(MF文庫J)
あらすじ
女の子同士の恋愛、いわゆる“百合”が大好きな高校生。
現実でもゲームでも、百合カップルを守るためなら体を張るタイプの彼は、ある日暴走車から百合をかばって命を落としてしまう。
……と思いきや、目を覚ますと自分が大好きだった百合ゲーム「エスコ」の世界に転生していた!
しかも転生先は、百合展開を邪魔してバッドエンドを招く“悪役”キャラ「三条燈色」。
せっかく転生したのだから、現実で得たゲーム知識を活かして、
「百合を壊さず、陰から見守る存在」として平穏に暮らそうとするのだが――
なぜか登場人物たちの好意が次々と燈色に向かいはじめ…!?
百合を守りたい“百合男子”が、世界の運命とヒロインたちの想いに翻弄されていく、
ハイテンション転生ラブ(?)コメディ、ここに開幕!
詳細評価(5段階)
- 主人公:
百合をこよなく愛し、現実でもゲームでも“百合を守る”ことに情熱を注ぐ異色の主人公。一見コミカルだが、信念を貫く姿勢に好感が持てた。 - ヒロイン:
百合ゲーム設定ゆえ、ヒロインたちの個性が強く、掛け合いも独特で面白い。主人公とのズレた関係性も魅力のひとつ。 - シナリオ:
特異な世界観を活かし、先が気になる構成。ギャグ色が強めで、元ネタを知らないと戸惑うかもしれないが意外にしっかりしている。 - 気楽さ:
ノリと勢いで読ませるタイプ。テンポも良く、笑いながら気軽に楽しめる。 - 後味:
今後の展開に向けた導入編という印象で、1巻としてのまとまりはやや弱めだが期待感は高い。 - 長さ:
標準的なボリュームだが情報密度が高く、テンポも速い。人によっては詰め込みすぎに感じるかも。
よかった点
本作の魅力は、何よりもまず主人公の“百合愛”が突き抜けている点にあります。現実でもゲームでも「百合カップルを守る」ことを信条とする姿勢は、ギャグとして描かれながらも一本筋が通っており、その愚直さに不思議な好感が持てました。転生後もその信念を貫こうとする姿が物語全体の軸になっていて、他のラブコメ作品とは一線を画しています。また、登場するヒロインたちは元々百合ゲームの登場人物という背景もあり、それぞれに個性と魅力があり、掛け合いもテンポよく、主人公に惹かれていく様子も自然に描かれていました。さらに、「百合を壊さずに見守る」立場を目指すという主人公の視点が、異世界転生と百合という一見相反する要素をうまくつなぎ合わせており、設定自体が物語の牽引力となっています。全体的にテンポが良く、会話や地の文も軽快で読みやすく、気軽に楽しめるコメディ作品として完成度の高い1冊でした。
気になった点
本作の独自性ゆえに、読む人によっては引っかかる点もいくつかあるかもしれません。まず、主人公の“百合愛”が強すぎるあまり、物語の序盤はギャグ寄りのテンションが高く、感情移入しづらいと感じる読者もいるでしょう。コメディ色が強く、世界観やキャラの関係性を把握するのに少し時間がかかるかもしれません。また、主人公はあくまで「百合を守ること」が目的であるため、通常のラブコメ的な関係構築とは異なり、ヒロインとの関係が独特で“ズレた”まま進行していく点も好みが分かれそうです。個々のヒロインは魅力的ですが、主人公との関係が発展していくというよりも、一方的な好意が増していく構図が続きます。
実際に読んで感じたこと
最初は「百合好きの男子が百合の世界に転生する」という突飛な設定に、正直ついていけるか不安でした。しかし読み進めていくうちに、主人公のぶれない“百合への愛”が本作全体の軸になっていることがわかり、だんだんとその奇抜さにも納得がいくようになりました。
ギャグのテンポはかなり早く、好き嫌いが分かれそうですが、刺さる人には間違いなくハマる勢いがあります。登場するヒロインたちもそれぞれ個性が立っており、百合ゲーという舞台設定を活かした掛け合いは見どころのひとつです。
個人的には、主人公が“モテる”ことに対して無自覚どころか逆方向に全力で突き進んでいく姿が新鮮で、他のラブコメ作品とはまた違った読後感を味わえました。
なお、主人公にはかわいそうなことに百合展開は控えめです。百合展開をメインで期待している読者にはやや肩透かしに感じるかもしれません。
まとめ
『男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと』は、
“百合を守るために異世界転生した男”という突飛な設定を軸に、独自の笑いとテンポで突き進むラブコメ作品でした。
主人公の偏った信念や、ヒロインたちとの“ズレた”関係性は好き嫌いが分かれる部分もありますが、刺さる人には間違いなくクセになるタイプの作品です。
ギャグと設定の密度は高めですが、文章は読みやすくテンポもよいため、
肩の力を抜いて読める1冊としておすすめできます。
特に、
- ラブコメに“変化球”を求める人
- 強烈な設定とキャラの掛け合いが好きな人
にはぜひ試してみてほしい一冊です。
この作品は百合作品ではなくハーレムラブコメになります。
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