『男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと②』感想|百合と英雄譚が交差する、“推せるモブ主人公”の逆転劇
総合評価

※画像はKADOKAWA様公式サイトより引用
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作品情報
タイトル:男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと2
著者:端桜了
イラスト:hai
出版社:KADOKAWA(MF文庫J)
あらすじ
男子禁制の乙女ゲーム世界に転生してしまった主人公・ヒイロ。
しかもその立ち位置は、“百合の間に挟まるだけで嫌われて破滅する”最悪のモブキャラだった——。
そんな彼が、ヒロイン同士の百合を成就させるため、邪魔者としての自覚を持ちながらも奮闘を続ける第2巻。
舞台は、豪華客船で行われる鳳嬢魔法学園のオリエンテーション合宿。
ヒイロは原作知識を活かし、ヒロインたちの関係を守るために奔走するだけでなく、本来なら物語の犠牲となるモブキャラたちにも救いの手を差し伸べていく。
これは想定通りのイベント——のはずだった。
だが、現れた敵の様子がどこかおかしい。
不安は的中し、ついに最悪の強敵・魔人アルスハリヤとの、想定外の戦闘が始まってしまう――!
詳細評価(5段階)
- 主人公:
今回も「百合を守る」という信念は揺らぐことなく、自分が“空気”であることを貫こうと奮闘するヒイロ。
しかしその努力とは裏腹に、なぜかヒロインからの好感度はどんどん上昇し、さらにはヒロインの数まで増えていく。
ギャグ要素満載ながら、英雄的な活躍やカッコいいシーンも多く、今巻のヒイロはまさに“主人公”だった。 - ヒロイン:
1巻からのメインヒロイン3人に加え、新たに登場するヒロインたちもそれぞれ個性的で魅力的。
特に後半では、ヒイロがヒロインの涙を止めるために“百合”ではなく“人として”しっかり向き合うシーンがあり、あれは惚れてしまうと納得。
恋のバランスがどう変化していくのか、今後の展開がますます気になる。 - シナリオ:
ギャグとシリアスの切り替えが見事で、飽きずに読める構成が魅力。
原作知識を使って介入したことで、予定されていた展開が変化し、予想外のピンチが訪れるという流れも非常に巧み。
ヒイロの行動理念が一貫しており、シリーズとしての軸がしっかりしていると感じさせてくれる。 - 気楽さ:
登場人物や設定の説明が丁寧に描かれており、しっかりと理解しながら読むことでラストの感動が引き立つ。
軽く流すよりも、じっくり読み込むほどに深く味わえるタイプの作品。 - 後味:
とても気になる形で物語が終わるため、読後に「これは続きが気になる!」と感じさせられる。
実際、筆者も3巻をすぐに購入するほどの引きだった。 - 長さ:
ボリュームは十分で、読みごたえと満足感のある構成。内容の密度も高く、2巻として理想的な仕上がり。
よかった点
本作の魅力は、ギャグとシリアスのバランスの良さにあります。
普段は軽妙なやり取りやおふざけで笑わせてくれるヒイロですが、いざという時には、泣いている女の子を放っておけず、自分の危険を顧みずに手を差し伸べる。
そのギャップがとにかくカッコよく、“英雄”と呼ぶにふさわしい活躍が随所に見られました。
気になった点
作中には他作品の漫画やアニメを思わせるパロディネタが多く含まれており、そうしたネタが苦手な方にとってはやや引っかかるかもしれません。
もっとも、筆者としてはむしろ楽しめる要素だったので、パロディに寛容な読者であれば問題なく受け入れられるはずです。
実際に読んで感じたこと
今回も変わらず、主人公・ヒイロの信念は**「百合を守る」ことに徹していて、
自分が好かれないように立ち回ろうとする姿勢がとても面白かったです。
それなのに、行動すればするほどヒロインたちの好感度がどんどん上がっていくというギャップが見事で、思わず笑ってしまいました。
ヒロインたちも、ただ受け身ではなく、それぞれのやり方でヒイロにアピールしてくる姿が魅力的でした。
そして後半に向けての戦闘展開も熱く、突入の流れもバトルシーン自体もとてもカッコよく、満足感の高い1冊だったと思います。
まとめ
百合を守るという強い信念のもと、自らが空気になろうと奮闘する主人公・ヒイロの行動がますます冴えわたる第2巻。
それにもかかわらず、ヒロインたちの好感度はなぜかどんどん上昇し、多角関係の波乱も加速していきます。
ギャグとシリアスの配分も絶妙で、後半のバトル展開ではヒイロの“英雄性”がしっかり描かれ、笑いだけでなく胸が熱くなる展開も満載。
原作知識が介入で変化していくゲーム展開や、追加ヒロインの魅力も高まり、続巻への期待感も大きく膨らむ内容でした。
1巻に引き続き、ラブコメ×戦闘のミックスが見事に成立した満足度の高い1冊です。
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<前巻のレビュー>
👉 『男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと①』はこちら