ラノベ

『自分の事を主人公だと信じてやまない踏み台』2巻感想|狂信ムーブは加速し、物語は本筋から逸脱していく!

千代瀬

総合評価

※画像はTOブックス様より引用

👉自分の事を主人公だと信じてやまない踏み台が、主人公を踏み台だと勘違いして、優勝してしまうお話です2巻をAmazonで見る

作品情報

  • タイトル:自分の事を主人公だと信じてやまない踏み台が、主人公を踏み台だと勘違いして、優勝してしまうお話です
  • 著者:流石ユユシタ
  • イラスト:卵の黄身
  • 出版社:TOブックス

あらすじ

前巻で、剣の師匠ユルルを“自分のイベント”だと信じて救ったフェイ。
今回も「自分こそが物語の主人公だ」と信じて疑わない彼は、ひたむきな努力と誤解の連鎖で、悩めるヒロインたちを次々と“救って”いく。
その影響はストーリーの枠を超え、本来死ぬはずだったキャラクターたちにも波及。
フェイの狂気とも言える信念が、ゲームの物語を大きく逸脱させていく第2巻――勘違いと執念が交差する、異常な“正義”の物語が加速する!

詳細評価(5段階)

主人公:
フェイの“俺こそ主人公”という狂信的な自意識は今巻でも健在。
その勘違いのまま全力で行動し続ける姿はもはや清々しく、読者の想像を軽々と飛び越える。
一方で、自分を信じるあまり他人の都合や意思を置き去りにする姿は、恐ろしくもあり興味深い。

ヒロイン:
悩みを抱えたヒロインたちが登場し、それぞれにストーリーがあるのが好印象。
ただ、ヒロインが2巻から一気に増えたため、キャラの把握に少し混乱する場面も。

シナリオ:
元のゲームシナリオを“狂気でねじ曲げていく”展開が鮮やか。
フェイの行動が波紋のように広がり、予定調和だったストーリーが壊れていく様子は痛快。
同時に、どこまでが計算なのか読めないスリルもある。

気楽さ:
ギャグとして笑える反面、敵の行動は相変わらず残酷で、ゾクッとする場面も多い。
軽く読めるが、人によっては精神的に刺さるシーンもあるかもしれない。

後味:
物語の核心にはまだ届かないものの、フェイの“勘違いによる正義”が結果的に救いを生んでいる展開は読後に妙な満足感を残す。
次巻以降への期待感も強く残る。

長さ:
テンポはやや早めで、内容の密度に対してもう少し余韻が欲しい場面もあった。
ただ、勢いで一気に読める構成にはなっており、シリーズの転換点としては十分な厚み。

良かった点

主人公フェイは“自分こそが主人公”という狂気に満ちた信念を持ちながらも、ヒロインたちの悩みや問題には真正面から向き合い、(恋愛感情を抜きにして)全力で救おうとする姿勢が光っていた。
その行動は時に強引ながらも誠実で、「そりゃ惚れるよな」と思わせるだけの説得力がある。
勘違い系でありながら、単なるギャグに終始せず、キャラクターへの好感をしっかり育ててくれる点が魅力だった。

気になった点

メインヒロイン格と思われるアーサーのエピソードがやや短く、深掘りされる前に次の展開へ進んでしまった点は少し物足りなさを感じた。
今後の巻で掘り下げられる期待はあるが、もう少し“彼女らしさ”を味わいたかった。
また、敵役たちがそろいもそろって危険な嗜好や歪んだ思想を持っており、フェイがいなければ本当に救いがなかったと感じるような描写も多い。
その分“救われる側”の重さが強調されているが、人によってはそこが苦しく感じられるかもしれない。

実際に読んで感じたこと

1巻の時点でもフェイの勘違いムーブは強烈でしたが、2巻ではそれがさらに加速していて、良い意味で読者の予想を裏切る展開が続きました。
特に“救いたい”という思いすら持たずに、ただ自分のシナリオだと信じて突き進むフェイの行動が、結果として誰かを救っているという構造が面白く、皮肉でありながらも感動的にすら思えてきます。
一方で敵役の陰惨な設定や展開にはギョッとする部分もありましたが、だからこそフェイの存在が“偶然の救い”として強く印象に残りました。
ラブコメや勘違いものが好きな人はもちろん、少し変わった構造の異世界ファンタジーを読みたい方にもおすすめです。

まとめ

自分のことを主人公だと信じて疑わないフェイの“勘違い”が、救済と混乱をもたらしていく第2巻。
一歩間違えばホラーすら感じさせる異常な自意識を持ちつつも、ヒロインたちへの誠実な行動が光り、読者の心を引き込んでいきます。
物語としてはまだ序盤という印象もありますが、次第に広がるストーリーと登場人物の関係性の深まりが楽しみになる構成でした。
“勘違い系”“救いのある展開”“ちょっと狂った主人公”が好きな人には特に刺さる一冊です!

👉TOブックス様公式サイトはこちら

👉自分の事を主人公だと信じてやまない踏み台が、主人公を踏み台だと勘違いして、優勝してしまうお話です2巻をAmazonで見る

ABOUT ME
記事URLをコピーしました