ラノベ

『領地のすべてをゴーレムで自動化した俺、サボっていると言われて追放されたので魔境をチート技術で開拓します!1』感想|技術チートで進む爽快開拓ファンタジー

千代瀬

総合評価

※画像はマイクロマガジン社(GCノベルズ)様より引用

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作品情報

タイトル:領地のすべてをゴーレムで自動化した俺、サボっていると言われて追放されたので魔境をチート技術で開拓します! 1
著者:kimimaro
イラスト:詰め木
出版社:マイクロマガジン社(GCノベルズ)

あらすじ

名門貴族の三男・ヴィクトルは、人に裏切られず、命令どおり働くゴーレムに魅せられ、その研究に人生のほとんどを注ぎ込んできた。
やがて領地運営すらゴーレムで自動化してしまうほどの成果を上げるが、父からは「サボっている」と誤解され、何度も失敗してきた危険地帯──“サリエル大樹海”の開拓を命じられて追放されてしまう。

仕方なく大樹海へ向かったヴィクトルは、持ち前の技術とゴーレムの性能を活かし、魔境すら次々と開拓してしまう。
一方、彼が抜けたことで領地ではゴーレムが動かなくなり、運営は崩壊寸前。街は混乱し、家族にも暗雲が漂い始める。

追放された天才少年と、彼の技術に頼りきっていた領地。
その対比が気持ちいい、チート開拓ファンタジー開幕の第1巻。

詳細評価(5段階)

主人公:
ヴィクトルは幼い頃の体験からゴーレム研究にのめり込み、寝る間も惜しんで領地を支えてきた努力家。
感情より合理性を優先するタイプで、追放後も落ち込まず最善を尽くす前向きさが魅力的です。
ただ、ゴーレム愛が強すぎて“人間とゴーレムをほぼ同列に考えている”場面もあり、共感しづらい点も残ります。
技術者として突出しながらも、どこかズレた価値観がキャラ性として印象に残りました。

ヒロイン:
登場キャラは控えめながら、ヴィクトルの技術や性格に興味を寄せる女性陣との距離感は心地よい。
中でも、彼の理想を詰め込んだメイドゴーレムは強さも気遣いも突出していて安心感がある存在です。
ただ、序盤時点ですでに感情があるような雰囲気はやや違和感があり、人工的な存在としての描写が薄めに感じました。
恋愛色はまだ弱いものの、落ち着いた関係の築き方に今後の広がりが期待できます。

シナリオ:
「ゴーレムによる完全自動化を勘違いされて追放される」という導入は王道ながら、技術チート×開拓の組み合わせは新鮮さがあります。
サリエル大樹海の危険をゴーレム技術で突破していくテンポの良さは読んでいて爽快。
一方で、主人公の活躍と領地側の混乱が並行して描かれる“二軸進行”が物語に厚みを生んでいます。
ただ、追放ものとしては王道すぎる展開も多く、このジャンルを読み慣れた人には既視感があるかもしれません。

気楽さ:
危険地帯の開拓がテーマでも、全体の空気は軽くテンポも快調で読みやすい作品。
ヴィクトルの淡々とした性格によってストレス描写が少なく、サクサク進む構成も心地よいポイントです。
メイドゴーレムの安定した働きもあって、深刻になりすぎず“パワーで突破する爽快感”が楽しめます。
ライトな気分転換としても十分読める、気楽さのある一冊でした。

後味:
追放系にありがちな後味の悪さがなく、むしろ主人公側の順調さが爽快感を生む構成。
領地側の困窮もやりすぎず、物語としてのカタルシスがちょうど良いバランスで描かれています。
ヴィクトルの努力が報われ始める終盤は特に気持ちよく、続きを期待させる終わり方でした。
元の街がこのあとどうなるのかも気になり、シリーズとしての興味をつなぐ作りになっています。

長さ:
情報量は多いものの描写が整理されており、テンポよく読めるバランスの良さが光る巻。
開拓・技術・ゴーレム運用と複数要素が詰まっている割に冗長さがなく、没入が途切れにくい構成です。
1巻に必要な設定と伏線がしっかり入っており、シリーズの導入として十分満足できるボリューム。
長すぎず短すぎず、今後の展開を期待させるちょうどいい長さでした。

良かった点

ヴィクトルの技術力とゴーレム運用の発想がとにかく爽快で、開拓シーンは次々と成果が見えるため読んでいて気持ちが良いです。
“追放された側が順調に前へ進み、残された領地が逆に困る”という対比も面白く、物語にしっかりメリハリがついていました。
メイドゴーレムの有能さが作品の安定感につながっており、淡々としつつも確実に前進していく開拓描写が魅力的。
技術チート系の良さが詰まっていて、読んでいてストレスが少ない点も良かったです。

気になった点

ゴーレム技術が非常に便利なぶん、序盤から何でも解決できてしまい、緊張感や困難の描写がやや薄く感じる場面がありました。
また、追放理由が典型的な“誤解系”であるため、新鮮さより既視感が先に立つ人もいそうです。
メイドゴーレムの感情表現が早い段階で出てくるのも、人造物としての描写を期待していた身としては少し違和感がありました。
テンポの良さは魅力ですが、もう少し人間関係の掘り下げがあれば、より物語に厚みが出たように思います。

実際に読んで感じたこと

ゴーレム技術を軸にした開拓描写は見ていて気持ちよく、主人公の淡々とした行動も作品のテンポに合っていて読みやすかったです。
序盤の追放展開は王道ながら、技術チート×開拓の組み合わせが軽快で、先が気になる構成になっています。
メイドゴーレムの存在が“安心して読める要素”になっており、サリエル大樹海の攻略パートは特に楽しい部分でした。
重さが少なく読み心地が軽いので、開拓系ファンタジーの入門としても向いている巻だと思います。

まとめ

技術チートと開拓の相性がよく、ゴーレムを駆使して魔境を切り開いていく過程は読んでいて非常に爽快でした。
追放ものらしいカタルシスを残しつつ、重すぎない物語運びでサクサク読み進められるのも魅力です。
主人公の性格や価値観にクセはあるものの、努力が実を結ぶ展開は気持ちよく、シリーズとしての伸びしろも十分。
軽めの異世界開拓ものが読みたい人には手に取りやすい、安定した1巻という印象でした。

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