『公女殿下の家庭教師』第1巻 感想｜魔法が使えない少女と、優しすぎる先生の関係に癒された
千代瀬
千代瀬の冒険
陰キャの俺が席替えでS級美少女に囲まれたら秘密の関係が始まった。感想・評価｜秘密と下ネタが交錯する学園ラブコメ
千代瀬
総合評価
※画像はKADOKAWA様公式サイトより引用
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作品情報
タイトル：陰キャの俺が席替えでS級美少女に囲まれたら秘密の関係が始まった。
著者：星野星野
イラスト：黒兎ゆう
出版社：電撃文庫（KADOKAWA）
あらすじ
陰キャでオタクな高校生・泉谷諒太は、ある日クラスの席替えで絶望する。
なぜなら、前には天真爛漫な妹系・海山愛莉、左には無気力系ギャル・市之瀬優里亜、右には黒髪清楚な委員長・黒木瑠衣――クラスカースト最上位のS級美少女たちに囲まれてしまったのだ。
だが彼女たちは、それぞれ“完璧な美少女”の仮面の下に、人に言えない秘密を抱えていた。
ひょんなことからその秘密を知ってしまった諒太は、「お願い、言わないで」「これは、君と私だけの秘密だよ？」と次々に距離を詰められていく。
平穏なオタクライフを望むだけの陰キャが、3人の美少女との“秘密の関係”に巻き込まれ、なぜか板挟み状態に！？
静かに過ごしたいだけなのに、波乱だらけの学園ラブコメ、開幕！
詳細評価（5段階）
主人公：
陰キャを自称しながらも、どこか誠実で気配りのできる泉谷諒太。
理不尽なモテ展開に巻き込まれながらも、空気を読み、誰かを傷つけない選択肢を取ろうとする姿勢に好感が持てる。
ただし、少し性欲が強めに描かれている場面もあり、そうした描写が苦手な読者にはやや気になるかもしれない。
ヒロイン：
愛莉・優里亜・瑠衣という三者三様の個性を持ったS級美少女たちが登場。
それぞれの“秘密”が彼女たちの性格や行動に自然につながっており、テンプレをなぞるだけでなく、キャラの内面まで丁寧に掘り下げられている。
掛け合いのテンポもよく、ラブコメとしてバランスの取れたヒロイン陣。
シナリオ：
「秘密を共有する関係」というコンセプトのもと、徐々に関係が深まっていく構成が魅力。
大事件は起きないものの、ヒロインごとの“らしさ”が反映されたエピソードが並び、1巻としては安定した読みごたえ。
ただし高校男子らしいノリとはいえ、お色気描写がやや多めで気になる場面もあった。
気楽さ：
シリアス要素は軽めで、基本は明るくテンポのいいラブコメ。
ヒロインたちの秘密も深刻になりすぎず、やり取りも微笑ましい場面が多いため、気楽に読める1冊。
後味：
「秘密」が軸になっているものの、重たくならず、終始ほどよい距離感のまま物語が進行。
ヒロインたちとの関係に変化の兆しは見えつつも、あくまで“これから”を予感させる心地よい読後感。
長さ：
標準的なボリュームでサクサク読める構成。
ヒロイン3人分の秘密とやり取りが詰め込まれているため、展開はやや駆け足気味に感じる部分もあるが、テンポ重視の作風には合っている。
良かった点
3人のヒロインそれぞれに「秘密」があり、それがキャラクター性や行動にしっかり結びついている構成が魅力。テンプレート的な属性に見えながらも、内面が描かれることでただの記号的存在にならず、個々にしっかりとした“人間味”が感じられる。
また、主人公・諒太の対応も過剰にヒーローぶらず、空気を読みながら距離を保とうとする自然体の姿勢が好印象。ラブコメでありながらも全体の空気感が明るく、気軽に読み進められる点も良かった。
気になった点
主人公・諒太が下心を隠さず正直に振る舞う姿勢は好感が持てる一方で、やや“はっちゃけすぎ”な印象も否めない。序盤でこそ「陰キャ」と説明されているものの、実際には女性と普通に会話でき、下ネタも遠慮なく口にするため、キャラクター設定とのズレを感じる場面があった。
また、アダルトな描写や下ネタの頻度もやや多めで、ラブコメとして読むには気になる読者もいるかもしれない。
実際に読んで感じたこと
学校でトップの人気を誇る3人の美少女と“秘密を共有する関係”になり、隠れてイチャイチャするというシチュエーションはラブコメ好きにはたまらない魅力がある。
秘密がきっかけで関係性が深まっていく展開もテンポよく描かれており、テンプレートに見えて意外と読ませる構成だった。
ただし、下ネタや性的な描写が多めな点は好みが分かれそうで、そういった表現が苦手な読者にはやや合わない可能性があるため注意が必要。
まとめ
学園ラブコメの王道要素に、“秘密の共有”というスパイスを加えたことで、テンプレに見えて一歩踏み込んだキャラ描写が光る1巻。3人のS級美少女たちがそれぞれ異なる“秘密”を抱えており、それをきっかけに主人公と少しずつ距離が縮まっていく構成が読みやすく、飽きさせない。
ヒロインたちの魅力はもちろん、テンポの良さと掛け合いの楽しさもあり、ライトな気持ちで楽しめる作品になっている。ただし、お色気・下ネタ描写は多めなので、苦手な人は注意。
秘密が恋愛にどう影響していくか、続刊での展開にも期待が持てるシリーズ第1巻。
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