『陰の実力者になりたくて! 5巻』レビュー|ゼータ&クリスティーナ登場、シリーズ随一の厨二回!
総合評価

※画像はKADOKAWA様公式サイトより引用
作品情報
- タイトル:影の実力者になりたくて!05
- 著者:逢沢大介
- イラスト:東西
- 出版社:KADOKAWA
あらすじ
日本での一幕を終え、再び異世界の学園へと戻ってきたシド。
表向きは地味なモブ生徒として日常を送りつつも、裏では「陰の実力者」として、今巻でも中二病全開の妄想(?)を実現していく。
シリアスとギャグが入り混じる展開の中で、ついに“七陰”のひとり・ゼータも本格登場。物語はますますにぎやかに、そして混沌としていく――。
闇の組織との戦いに新たな局面を迎えながらも、シドは今日も我が道を突き進む!
詳細評価(5段階)
主人公:
相変わらず“陰の実力者ごっこ”に没頭するシド。今巻では、彼の妄想行動が現実の脅威すら凌駕し始め、ますます本物の陰の実力者として活躍する場面が増加。
本人は気づかず行動しているのに、結果的に世界を救ってしまう構図が健在で、戦闘シーンの描写も非常にかっこよく読み応えがあった。
ヒロイン:
七陰のゼータが本格登場。狼獣人という異質な存在ながら、シドへの忠誠心と独特な性格が魅力的に描かれている。
また、新キャラ・クリスティーナの登場もあり、ヒロイン層に新たな風が吹き込まれている。ラブコメとしての厚みも増してきた巻。
シナリオ:
学園生活と地下の陰謀が交錯するエピソード構成。各イベントのつながりは薄めながらも、一話一話の展開がテンポよく進み、飽きずに読み進められる。
特に終盤のシリアス展開は見ごたえがあり、次巻への引きも強い構成になっていた。
気楽さ:
基本はギャグ・コメディ色が強く、気楽に読める一冊。シドの“妄想”がシリアスな空気を良い具合に緩和してくれる。
ただし、登場キャラが非常に多くなってきており、過去巻の記憶が薄いとやや混乱する場面もある点には注意。
後味:
バトル、陰謀、ラブコメがバランスよく配置されており、読後の満足度は高め。
「陰の実力者」らしい誤解と活躍のギャップがしっかり描かれ、次巻が気になる終わり方だった。
長さ:
標準的な文量でテンポよく進む構成。
今回も1巻内で一区切りついており、読後にしっかりした達成感がある。次巻への伏線も自然に織り込まれており、シリーズとしての連続性も良好。
良かった点
普段から「無能な生徒」を演じているシドですが、今巻ではさらに、事件の最初の犠牲者となった一般生徒になりかわり、裏から事件を解決していく展開が魅力的でした。
まさに“陰の実力者”プレイの真骨頂であり、誰にも気づかれずにすべてを掌握していく姿にワクワクさせられます。
また、戦闘シーンでは厨二心をくすぐるような特殊武器の活用もあり、少年心をくすぐるアクションが満載。ギャグとシリアスの絶妙なバランスも本作ならではで、今巻もシリーズファンの期待を裏切らない内容でした。
気になった点
今巻は登場キャラがさらに増え、複数のサブエピソードが同時進行するため、やや把握しづらい部分がありました。
特にゼータや新キャラ・クリスティーナの掘り下げがやや駆け足で、もう少し感情移入できる描写が欲しかった印象です。
また、物語全体の流れがやや断片的で、イベントの連続に感じられる場面もありました。
陰の実力者としてのシドの活躍は魅力的ですが、物語としての一貫性や余韻がやや薄まっていたのは惜しい点です。
実際に読んで感じたこと
第5巻も「陰の実力者プレイ」としての魅力が存分に詰まっており、特に“無自覚な活躍”が見事にハマっていて痛快でした。
序盤の一般生徒になりすまして事件に巻き込まれていく流れは、まさに陰の実力者らしい立ち回りで、読んでいてニヤリとさせられます。
また、戦闘シーンの厨二感は相変わらずの完成度で、特に新たに登場した武器のギミックは心をくすぐられました。
ゼータの登場でヒロイン層にも変化が生まれ、今後の展開にもより厚みが出そうです。
一方で、複数のキャラやエピソードが入り乱れることで、やや散漫に感じる場面もありましたが、シドのブレない立ち回りが全体を引き締めていたと思います。
まとめ
『陰の実力者になりたくて! 05』は、シリーズの持ち味である“陰の実力者ごっこ”がさらに洗練され、ギャグとシリアスの絶妙なバランスが光る1冊でした。
特に今回は、一般生徒になりすまして事件の核心に迫るという展開がユニークで、読者を飽きさせません。
ゼータの本格参戦や新キャラ・クリスティーナの登場により、ヒロイン陣もより賑やかに。
一方で、地下でうごめく陰謀や謎の存在など、ストーリー全体の厚みも増しています。
巻を追うごとに“陰の実力者”としてのシドの立ち位置が確立されつつあり、ますます先が気になるシリーズになっています。
厨二全開のバトルと笑いが融合した、読後にニヤリとできる巻でした。
<前巻のレビュー>
👉『陰の実力者になりたくて!04』はこちら