ラノベ

『影の実力者になりたくて!』3巻 感想レビュー|妄想と現実が奇跡的に噛み合う痛快展開!

千代瀬

総合評価

※画像はKADOKAWA様公式サイトより引用

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作品情報

  • タイトル:影の実力者になりたくて!03
  • 著者:逢沢大介
  • イラスト:東西
  • 出版社:KADOKAWA

あらすじ

影の実力者として理想のムーブを続けるシドに、次なる事件が迫る――。
今度は吸血鬼伝説と偽札騒動が絡み合い、学園の外でも暗躍する展開へ。
どこまでも自分の“妄想”を現実にしていくシドの行動は、やがてシャドウガーデンを揺るがす大きな決断へとつながっていく。
その中で描かれるアルファの心情や、シャドウへの強い憧れがにじむ描写が印象的な巻。
妄想と現実が交差する中、シドの“影の実力者ごっこ”はますます冴え渡る――!

詳細評価(5段階)

主人公
自分の“影の実力者ムーブ”を貫き続けるシドは今巻でも絶好調。
あくまで本人は中二ごっこのつもりなのに、世界が勝手に深読みしていく展開は健在で、読者としてもニヤニヤが止まらない。
今回登場する“ジョン・スミス”のキャラ設定も、影の実力者ごっこに磨きがかかっており、個人的にも非常に好みの展開でした。

ヒロイン
アルファを中心に、シャドウガーデンのメンバーの掘り下げが進んだ巻。
特にアルファの“シャドウへの憧れ”がにじみ出る描写は感情的な厚みを加えていて、単なるギャグでは終わらない関係性に深みを感じられる。

シナリオ
吸血鬼・偽札・裏切りという複数の事件を並行して進めつつ、シドの“遊び”がすべてと噛み合っていく構成は健在。
妄想のような行動が結果的にすべてを救っていく展開は読んでいて爽快感があり、気持ちの良い読後感につながっています。

気楽さ
主人公の圧倒的な強さがあるため安心して読める反面、ヒロインサイドでは苦悩や葛藤も描かれており、少し可哀想に感じる場面も。
読み応えはあるものの、人によっては集中力を求められる構成です。

後味
バトルとドラマのバランスが良く、妄想で動いているのに“結果的に世界を救っている”という矛盾が心地よい。
特にアルファの感情描写は、読後にじんわりと余韻が残る印象的な要素でした。

長さ
今回は無双だけでなくヒロインたちの描写も多く、展開の連続性が高かったため一気に読み進めることができました。
情報量のわりにテンポが良く、読了後には程よい充実感がありました。

良かった点

影の実力者ムーブがさらに加速し、“ジョン・スミス”という新たな顔でシドの妄想と現実が絶妙に絡み合っていく展開がとにかく痛快でした。
本人はふざけているのに、世界の方が勝手に重く受け止めて動いていく構図が今巻でも冴え渡っており、複数の事件が同時進行する中で最後にはきれいに収束する流れも読んでいて爽快。
特にアルファの心情が描かれることで、ギャグだけでは終わらない深みも加わり、シリーズとしての魅力がより際立った巻でした。

気になった点

主人公のシドは“影の実力者として理想を貫くこと”に全力で取り組んでおり、本人なりには真剣に行動していますが、周囲から見るとそれが冗談のようにも見えてしまうため、ヒロインたちとの温度差が少し気になりました。
特に、シドが理想を追って動いている一方で、ヒロイン側は現実の重さや葛藤を背負っているため、読み手としてはそのギャップに戸惑う場面もあります。
このすれ違いが作品の魅力にもなっていますが、感情の重みがズレて感じられるシーンもあるかもしれません。

実際に読んで感じたこと

この3巻は、シリーズの中でもとても私好みの展開でした。
主人公の行動には勢い任せな軽さも感じましたが、それでも最終的にヒロインが救われる展開には胸を打たれました。
敵対する相手でさえ、なぜか奇跡のようにシドの行動が噛み合って救われていく――その“結果的にすべてうまくいく”構図が本作らしく、悪を倒すカタルシスと、誰かを救う優しさが共存していて、読後にはしっかりとした満足感が残りました。

まとめ

理想の“影の実力者”像を追い求めて突き進む主人公と、それに振り回されながらも救われていく周囲の人々――。
本巻ではギャグとシリアスが巧みに交差し、複数の事件が最終的に収束していく構成が非常に心地よく、シリーズの面白さが凝縮された一冊でした。
アルファをはじめとしたヒロインたちの想いや成長も丁寧に描かれており、笑いと緊張感、そして感動が絶妙なバランスで楽しめます。
シドの「ブレない妄想」に付き合える読者には、ますますハマれる巻だと思います。

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