この△ラブコメは幸せになる義務がある。2【感想・レビュー】三角関係がさらに加速する続巻
総合評価

※画像はKADOKAWA様より引用
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作品情報
- タイトル:この△ラブコメは幸せになる義務がある。
- 著者:榛名千紘
- イラスト:てつぶた
- 出版社:電撃文庫(KADOKAWA)
あらすじ
幼馴染の凛華と麗良、そしてその二人を取り持とうとする天馬。
奇妙な三角関係の均衡は、麗良の生徒会長選挙立候補によって大きく揺れ始める。
応援演説を託された凛華。
一方で、完璧な優等生と評されてきた麗良の内面には、誰にも見せていなかった一面があった。
麗良を中心に、関係性がより複雑に絡み合っていく第2巻。
詳細評価(5段階)
主人公:
天馬は相変わらず「仲介役」として立ち回る。自分はあくまでオマケのスタンスで、ヒロインからグイグイ来られると困惑する姿が微笑ましい。空気を読むのがうまく、コミュニケーション能力も高い。スペックの高さが垣間見え、三角関係を支える柱として物語をしっかり回している。
ヒロイン:
凛華は麗良に対してはポンコツだが、天馬の前では素の自分を出せているのが魅力的。対照的に麗良は生徒会長選挙を通じて“完璧な優等生”の殻を破り、弱さや秘密を見せることで人間味が増した。二人の想いが鮮明になり、三角関係に厚みを加えている。
シナリオ:
学園ラブコメの王道イベント「生徒会長選挙」を軸に、キャラクター同士の関係性を掘り下げていく展開。派手さはないが、イベントが人物描写に直結しているため読み応えがある。三角関係を通じて、それぞれが問題を乗り越えようとする流れが良かった。
気楽さ:
全体は軽快なラブコメ調で読みやすい。ただし舞台が学校全体に広がったことで登場人物が増え、少し混乱する部分もある。それでも基本はテンポがよく、軽く楽しめる雰囲気が保たれている。
後味:
麗良の問題がひとまず解決し、読後感は良好。最後には次巻に繋がる気になる展開が提示され、続きを読みたくなる仕掛けがある。三角関係の緊張感を残しつつ、余韻を楽しめる結末だった。
長さ:
巻を通してイベントと人間関係が絡み合い、間延びは感じない。3人の動向や気持ちが丁寧に描かれており、テンポも良好。ラブコメとして十分に満足できるボリュームにまとまっている。
良かった点
凛華が麗良には“狂犬”のように接しながらも、天馬に対しては素の自分を見せて心を許している姿が微笑ましく、また麗良も優等生らしい悩みを抱えつつそれをしっかりと解決することで読後感がすっきりした点が良かった。さらに、主人公の天馬が優秀さを発揮して周囲を自然に巻き込み、三角関係を支える柱として物語を動かしていく姿も印象的で、各キャラクターの魅力が一層引き立っていた。
気になった点
麗良の抱える問題を描くためとはいえ、生徒会のメンバーが全体的に厳しい立ち位置ばかりだったのは少し残念に感じた。もう少し彼女を支える人物がいても良かったのではと思う。
実際に読んで感じたこと
巻から引き続き読んでいて、今回もとても面白かった。狂犬のように攻撃的な凛華が、天馬の前では砕けた一面を見せる姿は可愛らしく、また麗良に関しても完璧さの裏に隠された弱さが描かれたことでキャラクターの奥行きを感じられた。二人の立ち位置がより鮮明になったところで物語が終わるため、続きが気になり、すぐに3巻を手に取りたくなる構成だった。
まとめ
2巻では、生徒会長選挙というイベントを通じてキャラクターたちの関係性が大きく進展し、特に麗良の魅力が深堀りされた巻となった。凛華の素直な一面や天馬の頼もしさも描かれ、三角関係の面白さがさらに増している。
物語はまだ決着を迎えず、3巻以降への期待を高める形で終わるため、シリーズを続けて追いかけたくなる内容だった。
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<前巻のレビュー>