ラノベ

推しが俺を好きかもしれない【感想・レビュー】推しがクラスメイトだった青春ラブコメ

千代瀬

総合評価

※画像はファンタジア文庫様より引用

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作品情報

タイトル:推しが俺を好きかもしれない
著者:川田 戯曲
イラスト:館田 ダン
出版社:ファンタジア文庫

あらすじ

主人公・夜宮光助は、高校生にして2次元コンテンツをこよなく愛するオタク。なかでも『満月の夜に咲きたい』の大ファンであり、ボーカルを務めるU-Ka(ユーカ)を熱烈に推していた。

そんなある日、光助は衝撃の事実を知る。憧れのU-Kaの正体が、クラスでも誰からも好かれる美少女・花房憂花だったのだ。
彼女の大ファンである光助は、思わずファンレターを机に忍ばせてしまうほど熱を上げていたが――。

ある日、花房が男子生徒に告白される場面に遭遇した光助は、そこで彼女の「裏の顔」を知ってしまう。
それをきっかけに、推しでありクラスメイトでもある花房との、思いがけない関係が始まっていく。

詳細評価(5段階)

主人公:
夜宮光助は根っからの2次元オタクで、推しに一直線。
「ファンは推しとは適切な距離を取るべき」という信念を持ち、憧れのヒロインと距離感に戸惑う姿がリアル。ファンとしての姿勢を貫く点は好感が持てる一方、ネガティブすぎて少しイラつく場面もあった。

ヒロイン:
花房憂花(=U-Ka)は学校では完璧美少女、裏では性格がだいぶひどいという二面性を持つ。現実なら「お近づきになりたくない」と思うほどだが、徐々に主人公に素の姿を見せても受け入れてもらえる安心感から、好意を寄せていく流れが良い。終盤の照れ隠しも可愛らしい。

シナリオ:
「推しが実は身近にいた」という王道導入に加え、裏の顔を知ることで物語に深みが出ている。青春ラブコメとしての読みやすさがありつつ、「理想の推しに迷惑をかけたくない、でもヒロインを悲しませたくない」と葛藤する主人公の姿が面白い。

気楽さ:
特に難しい設定はなく、純粋なラブコメとして気楽に楽しめる。序盤のヒロインの性格はかなりキツめだが、徐々に照れ隠し要素も増えて読みやすくなる。ただしオタクをからかうシーンがあるため、人によっては気になるかもしれない。

後味:
出会いから関係性が綺麗に描かれており、二人の関係がどう進展するのかを期待させる終わり方。続巻への楽しみを残す形で読後感も良好。

長さ:
1冊として無理なくまとまっており、テンポも良好。ラノベ初心者にもおすすめできる読みやすいボリューム感。

良かった点

ヒロインの花房は序盤こそ「裏の顔」の印象が強く、辛辣な言葉や冷たい態度ばかりが目立っていた。
しかし物語が進むにつれ、主人公を意識し始めると、その態度にも変化が見えてくる。きつい言葉を吐きながらも、どこか離れたくない気持ちがにじみ出ており、その不器用さが逆に可愛らしい。

素直になれない彼女の心情が徐々に描かれることで、単なる「性格の悪いヒロイン」から「読者が応援したくなる存在」へと印象が変わっていくのが良かった。ラブコメらしいギャップの楽しさを味わえる一冊だったと思う。

気になった点

主人公は「ファンとして推しとは適切な距離を取るべき」という考えから、ヒロインからの誘いを何度も断ってしまう場面が目立った。そのため読んでいてもどかしさを感じることがあった。

また、自分に自信がなく「自分は釣り合わない」と思い込んで行動できない姿も少し気になった。ファンとしての矜持がブレーキになっているのは理解できるものの、もう少し積極的に動いてくれると物語にメリハリが出たかもしれない。

実際に読んで感じたこと

ヒロインの裏の顔がどんなものか気になって読み進めましたが、想像以上に自己中心的で酷いもので驚きました。
ただそれは出会って間もない頃だけで、主人公が誠実に対応していくことで徐々に態度が緩和されていきます。

最初は「話しかけないで」という冷たい態度だった彼女が、少しずつ主人公に心を開いていく変化は見どころでした。
序盤のきつい描写で止まらず、中盤まで読み進めれば十分に満足できるラブコメ作品だと思います。

まとめ

『推しが俺を好きかもしれない』は、「推しが実は身近にいた」という王道的な設定に加え、ヒロインの裏の顔を知ってしまうことで始まる関係性の変化を描いた青春ラブコメです。

主人公はオタクとしての矜持から距離を取ろうとする一方で、ヒロインはきつい態度を見せつつも次第に惹かれていく――そんな不器用な二人のやり取りが見どころ。
序盤の辛辣さを乗り越えると、素直になれない彼女の可愛らしさが光り、読後感も良好でした。

推しと現実の間で揺れるラブコメが好きな人、ギャップあるヒロインに振り回されたい人におすすめできる一冊です。

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