なぜかS級美女達の話題に俺があがる件5 感想|関係性が動き出す転換点の第5巻レビュー
総合評価

※画像は角川スニーカー文庫(KADOKAWA様公式サイト)より引用
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作品情報
タイトル:なぜかS級美女達の話題に俺があがる件3
著者:脇岡こなつ
イラスト:magako
出版社:KADOKAWA(角川スニーカー文庫)
あらすじ
なぜかS級美女たちの話題に名前が挙がり続ける主人公・晴也。
本人の知らないところで広がっていく噂や距離感は、夏休みを迎えてさらに複雑さを増していく。
第五巻では、夏休みのお泊まり会や外出イベントを通して、
それぞれの想いが少しずつ表に出始め、
これまで保たれてきた関係性にも変化の兆しが見え始める。
楽しい時間の裏で、過去の出来事や心に引っかかっていた感情が顔を出し、
些細な行き違いが思わぬすれ違いへと繋がっていく。
恋と友情の狭間で揺れる気持ち、
向き合うべき過去と、これから選ぶ未来。
甘さだけでは終わらない、少しシリアスな空気をまといながら、
物語は新たな段階へと踏み込んでいく第五巻。
詳細評価(5段階)
主人公:
今作から主人公の過去が少しずつ明らかになり、それに伴って情緒が不安定になっていく様子が描かれています。
これまでの受け身で鈍感な印象に加え、内面の弱さや葛藤が見えることで、キャラクターとしての厚みが増したと感じました。
明るいラブコメ調の中にシリアスな影を落とす存在として機能しており、物語全体の空気を引き締める役割を果たしています。
ヒロイン:
今巻ではヒロインたちそれぞれの感情がより前面に出ており、これまでの“余裕”や“明るさ”の裏にあった迷いや不安が丁寧に描かれていました。
恋と友情のどちらも大切にしたいという想いがぶつかり合い、関係性が揺れる描写は読んでいて印象的です。
単なるラブコメのヒロインではなく、感情を抱えた一人の人物として描かれている点が良かったです。
シナリオ:
夏休みイベントを軸にしつつ、これまで積み重ねてきた関係性が少しずつ変化していく構成が非常にうまく感じました。
派手な展開よりも、感情の行き違いやすれ違いに焦点を当てており、シリーズの中でもややシリアス寄りの巻になっています。
新刊として「次に何が起きるのか」を強く意識させる、転換点としての役割を果たしていました。
気楽さ:
これまでの巻と比べると、やや重めの空気を感じる場面が多く、完全に気楽に読めるタイプではありません。
ただし暗くなりすぎることはなく、日常描写や会話のテンポは健在なので、読みづらさは感じませんでした。
甘さは控えめですが、感情の揺れも楽しみたい人にはちょうど良いバランスです。
後味:
今作は重い話ではありましたが、これまでの流れを整理し、今後の展開へと繋げるために必要な巻だったと感じました。
恋愛面・人間関係ともに整理されきらない部分があるからこそ、続きを自然に読みたくなります。
シリーズ全体の中でも、意味のある位置づけの一冊です。
長さ:
イベント量と感情描写のバランスが良く、中だるみを感じにくい構成でした。
一つ一つのシーンが丁寧に描かれている分、読み応えもあり、新刊としての満足感は十分です。
最後まで安定したテンポで読み切れる長さでした。
良かった点
今巻では、それぞれのヒロインがどんな立場で、どんな気持ちを主人公に抱いているのかが丁寧に描かれていた点が良かったです。
単に「好意がある」「ない」という話ではなく、友情や遠慮、不安といった感情が絡み合い、同じ主人公を見ていても受け取り方が違うのが印象的でした。
そのため、ラブコメとしてだけでなく、人間関係の描写としても納得感があり、キャラクター同士の距離感がよりはっきりと伝わってきました。
気になった点
物語の転換点にあたる巻ということもあり、全体的にやや重めの空気が続く点は好みが分かれそうです。
これまでの関係性や積み重ねを前提とした描写が多いため、シリーズ未読の状態でこの巻から読むと状況を把握しにくく、入り口としてはあまりおすすめできません。
甘いラブコメ展開を期待して読むと印象が違う可能性があり、シリーズを追ってきた読者向けの一冊だと感じました。
実際に読んで感じたこと
第五巻は、これまで積み重ねてきた人間関係や感情が一度表に出てくる巻で、読みながら自然と気持ちが引き締まりました。
ラブコメらしい日常の延長線上にありつつも、登場人物それぞれが抱えてきた想いや迷いがはっきり描かれ、軽さだけでは終わらない印象を受けます。
主人公を中心にした関係性が動き始めることで、今後の展開に対する期待と同時に、「ここから物語が一段階進むんだな」という実感がありました。
シリーズを追ってきた読者ほど響く内容で、次巻をどう描いていくのかが素直に気になる一冊だったと思います。
まとめ
これまでのラブコメ的な流れに区切りをつけ、物語が次の段階へ進むことを強く意識させる一冊でした。
甘さよりも感情の揺れやすれ違いに焦点が当たっており、
登場人物それぞれの立場や想いが丁寧に描かれることで、人間関係の重みが増しています。
その分、この巻単体で気楽に楽しむというよりは、シリーズを追ってきた読者に向けた内容だと感じました。
物語の転換点として必要な要素をしっかり描き切っており、
ここから先、関係性がどう変化していくのかが非常に気になる構成です。
シリーズを通して読んでいる人にとっては、印象に残る重要な一巻と言えるでしょう。
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<前巻のレビュー> 『なぜかS級美女達の話題に俺があがる件』④はこちら

