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『追放系の悪役パーティのリーダーに転生したので、ざまぁされる前に自分を追放しました。』感想|悪役が運命を変える逆転の転生劇

千代瀬

総合評価

※画像はファミ通文庫様(KADOKAWA)より引用

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作品情報

タイトル:追放系の悪役パーティのリーダーに転生したので、ざまぁされる前に自分を追放しました。~スキルを奪う『スティール』って悪役過ぎるけど強すぎる~
著者:荒井竜馬
イラスト:匈歌ハトリ
出版社:ファミ通文庫(KADOKAWA)

あらすじ

物語の主人公を追放しようとしていたその時、男は気づく――自分が“ざまぁ”展開で処刑される悪役パーティのリーダー・ロイドに転生していることに。

このまま原作通りに主人公を追放してしまえば、自分の破滅は確定。
そう判断したロイドは、自らを追放するという奇策を取り、処刑の運命を回避することに成功する。

だが安心したのも束の間。
主人公が追放されることで助けられるはずだったヒロインが、今のままでは命を落としてしまう――
その事実を思い出したロイドは、所有するスキル《スティール》を使い、ヒロインのもとへと向かう。

しかし、悪役であるはずの自分が彼女を救ったことで、
物語は原作から大きく乖離し、想定外の運命へと進んでいく――。

詳細評価(5段階)

主人公:
ロイドとしての記憶がないため、アニメの知識を頼りに行動する転生者。
ロイドが過去に行った悪行の尻拭いをさせられる点は少しかわいそうだが、
冷静な判断力と対応力を見せる姿が魅力的。
スキル《スティール》で奪った魔法をすぐに理解し、戦闘に活かす姿は見事で、知略型主人公として非常に優秀。

ヒロイン:
本来であれば別の人物に救われて恋に落ちるはずだったヒロインが、
転生ロイドによって助けられたことで運命が変わり、次第にロイドへ好意を寄せていく。
ややヤンデレ気質があり、嫉妬して甘えてくる姿が可愛らしい。
ヒロインは二人登場するが、それぞれに魅力があり、読んでいて飽きさせない構成になっている。

シナリオ:
“自分を追放する”という逆転の発想が秀逸で、物語全体を新鮮に感じさせる。
スキル《スティール》の応用や使い方も巧みで、戦闘面でも楽しめる。
原作展開をメタ的にずらしていく構成が上手く、王道の中にも独自の面白さがある。
それにしても、ゲーム本来の主人公の性格があまりに酷く、
「力を持つと人は変わる」というテーマが皮肉を込めて描かれているのが印象的。

気楽さ:
追放・転生ものとして王道的で安心して読める。
ロイドのスキル《スティール》の応用性が高く、戦闘描写にもワクワク感がある。
登場人物はそこそこ多いが混乱するほどではなく、設定も分かりやすいので軽快に読み進められる。

後味:
ロイドの行動が確実に未来を変えていく手応えがあり、読後はスッキリとした満足感が残る。
この一冊でしっかり物語が完結しており、読後感の良さも抜群。

長さ:
テンポが良く、展開の切り替えもスピーディー。
やや駆け足に感じる部分もあるが、全体としてバランスが取れており、
1巻完結としてちょうど良いボリューム感。

よかった点

ロイドは最初こそ原作の主人公を立てるように動きますが、
途中からは相手の行動を見極め、自分の判断で行動するようになる点がとてもよかったです。
「自分は主人公じゃないから」と譲るタイプの作品が多い中、
ロイドは理不尽な状況でも筋を通し、おかしいと思ったことはきちんと指摘する強さを持っていました。
転生者としての冷静さと、自分の意思で未来を切り開く姿が印象的でした。

気になった点

悪役転生ものによく見られる傾向ではありますが、本来の主人公の性格があまりにも酷すぎました。
物語上の対比として必要な要素なのかもしれませんが、
こうした性格の持ち主が、果たして“人を救う存在”として描かれていたのかという疑問が残ります。
ロイドのように自分を顧みずに他人を助けられる人物とは、とても思えませんでした。

実際に読んで感じたこと

追放×転生という定番ジャンルながら、設定の切り口が非常に新鮮で楽しめました。
ロイドが原作の知識を活かしつつ、自分の意思で物語を変えていく展開は王道ながら胸が熱くなります。
特に“自分を追放する”という逆転の発想が上手く活かされており、テンポよく最後まで読めました。

戦闘シーンもわかりやすく、スキル《スティール》の応用が多彩で飽きません。
また、ロイドとヒロインたちの関係性の変化も程よく描かれており、
シリアスとラブコメのバランスが取れた良作だと感じました。

まとめ

『追放系の悪役パーティのリーダーに転生したので、ざまぁされる前に自分を追放しました。』は、
“追放系×転生×悪役視点”という定番ジャンルを逆手に取った新鮮な異世界ファンタジーです。

ロイドの知略と冷静な判断力、そしてスキル《スティール》を活かした戦闘描写が見どころ。
王道でありながらテンポよく進み、読後にはスッキリとした満足感が残ります。

悪役転生ものが好きな人はもちろん、王道の中に少し変化球を求める読者にもおすすめの一冊。
“ざまぁされる前にざまぁする”――そんな構図が心地よく決まった作品でした。

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