『悪役好きの俺、推しキャラに転生2』感想|義妹との確執と修復が描かれる続巻レビュー

千代瀬

総合評価

※画像はKADOKAWA様公式サイトより引用

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作品情報

  • タイトル:悪役好きの俺、推しキャラに転生2~ゲーム序盤に主人公に殺される推しに転生したので、俺だけ知ってるゲーム知識で破滅フラグを潰してたら悪役達の帝王になってた件~
  • 著者:高野ケイ
  • イラスト:kodamazon
  • 出版社:電撃の新文芸(KADOKAWA)

あらすじ

物語の推しキャラである“やられ役”ヴァイスに転生した主人公。
前巻では、転生前のゲーム知識と自身の努力によって、本来は悪役に堕ちてしまうはずのヒロインを救い出し、彼女からの信頼を勝ち取った。
しかし、依然として破滅の元凶である《ハデス教》との敵対は続いており、平穏への道は遠い。

そして今巻の焦点となるのは、ヴァイスの義理の妹・フィリス。
彼女との確執を修復し、再び絆を取り戻せるのか。
悪役達がひしめく中で“推しキャラ”としての運命を乗り越えるヴァイスの戦いが、さらに加速していく――。

詳細評価(5段階)

  • 主人公:
     推しキャラの破滅を防ぐため奔走するヴァイス。努力と知識を活かす姿勢は健在で、義妹フィリスとの関係修復に挑む姿に新たな成長を感じられる。ただ、前世の知識に頼りすぎている点は否めず、原作の展開と違う事態に直面するとピンチに陥り、ヒロインに救われる場面が多い。主人公自身の基本能力を上げるための努力ももう少し見たかった。
  • ヒロイン:
     前巻で救われたヒロインはヴァイスを信頼し共に戦うように。恋心までは至らないものの、信頼関係は着実に築かれ、大切な仲間として支え合っている。今巻では義妹フィリスが物語の中心となり、彼女との心情のやり取りが丁寧に描かれる。
  • シナリオ:
     ハデス教との対立を背景に、家族関係の修復というパーソナルなテーマが描かれる。戦闘とドラマのバランスは良好。ヒロインを悪役に堕とさなかったことで、その後の展開に歪みが生じ始めており、原作のストーリーとの乖離が気になるところ。
  • 気楽さ:
     義妹との確執や宗教組織との敵対など、重い題材が多くコメディ要素は少なめ。さらに他国との戦争も絡み登場人物が増えるため、設定が盛りだくさんで混乱しやすい印象。
  • 後味:
     フィリスとの関係修復によって温かい余韻が残る。ただしハデス教の脅威は続いており、次巻への期待感を煽る構成。
  • 長さ:
     一冊としてはしっかりまとまっているが、複数のエピソードが同時進行するため情報量はやや多め。

良かった点

義妹フィリスとの対話や歩み寄りを通して人間関係の修復がしっかり描かれており、前巻で救われたヒロインたちもヴァイスを信頼して共闘するようになったことで仲間としての絆が強調されていて熱く感じられた。また、転生元の人格であるヴァイス自身の気持ちを大切にしながら行動する主人公の姿勢も好感が持てた。さらに、ハデス教との対立や戦争という大きなスケールの物語と義妹との個人的な確執が同時に進行することでドラマとバトルの緩急が楽しめ、原作の筋書きが少しずつ変わっていくことで次はどうなるのか予想できないワクワク感が高まった。

気になった点

登場人物や専門用語が複数登場するため分かりにくい箇所があり、主人公の口調についても人格が混じっている影響なのか、偉そうな貴族的な話し方と「〜だぜ」という転生元の口調が入り混じっていてやや安定せず、違和感を覚える場面があった。

実際に読んで感じたこと

本来であれば悪役として散ってしまうキャラクターが主人公の奮闘によって救われ、仲間として共に戦ってくれるようになる展開はやはり胸が熱くなった。特に義妹フィリスとの確執を丁寧に描きながら、その関係を修復していく過程は、派手な戦闘シーンとはまた違った感動があり印象に残った。原作の筋書きが少しずつ変わっていくことで、今後どう物語が展開していくのか予想がつかず、続巻への期待がより高まった。

まとめ

『悪役好きの俺、推しキャラに転生2』では、前巻で救われたヒロインたちとの信頼関係に加え、義妹フィリスとの確執と修復が大きなテーマとして描かれた。人間関係の変化や成長がしっかりと描かれる一方で、ハデス教や戦争といった大きな物語も動き出し、今後の展開がますます楽しみになる一冊だった。主人公ヴァイスの立ち回りには課題もあるものの、仲間との絆や原作から外れていく筋書きが織りなす緊張感とワクワク感で、続巻への期待を高めてくれる作品だと感じた。

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<前巻のレビュー>

悪役好きの俺、推しキャラに転生①はこちら

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